2大会ぶり2度目の金メダルを目指すC組1位のなでしこジャパン(FIFAランク6位)が、準決勝でA組1位の韓国(同15位)を2-1で破り、4大会連続の決勝進出を決めた。

前半5分にFW菅沢優衣香(27=浦和)が先制点。同点に追いつかれたが、後半41分に相手オウンゴールで勝ち越した。90年北京大会からの全8大会メダルが確定し、31日の決勝はA組2位台湾(同42位)とB組1位中国(同17位)の勝者と戦う。

試合後の取材エリアで、疲れ切った表情のDF鮫島彩主将(31=INAC神戸)が正直な思いを明かした。「ものすごく厳しい試合でした。韓国の『日本に勝つ』という気持ちがすごく伝わってきていました」。立ち上がりは主導権を握っていたが、徐々に中盤を支配される展開となった。1-0の後半23分には、INAC神戸で同僚のMFイ・ミナに同点ゴールを奪われる。オウンゴールで勝ち越してもなお、攻め込まれる状況が続いた。

韓国の強みは中盤。フィジカルの強いチョ・ソヒョン、自ら仕掛けられるチ・ソヨンの両MFは鮫島にとって元同僚だった。今季から共にプレーするイ・ミナも含め、特徴はよく分かっていた。

チームとしても対策を立てていたが「相手のうまさにやられた。本当に強かったなと思います。映像を見ていて、自分たちのビルドアップ(守備陣から前線に向けての組み立て)がうまくいけばボールを保持できるというのと、もう1つは相手のパワーとスピードで押し込まれる想定をしていた。それが後者になりました」。試合終了のホイッスルを聞くと、安心した気持ちが強かったという。

今のなでしこジャパンは完成されたチームではなく、成長していく段階。だからこそ勝って、反省できることに価値がある。

高倉監督は「強力な攻撃で受けに回ってしまった。いろいろなところで修正しようと試みたけれど、最後まで勢いを止めることができなかった」とした上で「諦めずに粘り強く戦った選手は、素晴らしい働きでした」と振り返った。

31日の決勝戦では8年ぶりの金メダルがかかる。鮫島は「アジア大会で1回しか優勝していない。そういう意味でも金メダルが欲しいです」。長年なでしこを支えている者のプライドを、少しだけにじませた。