日本代表MF青山敏弘(32=サンフレッチェ広島)が、森保イズムの代名詞になる。日本サッカー協会は5日、森保監督の初陣となる国際親善試合チリ戦(7日、札幌ドーム)に臨む選手の背番号を発表した。青山は「17」。ワールドカップ(W杯)3大会連続でMF長谷部が背負い、森保監督が日本代表でつけた番号でもある。現役時代から犠牲心を持ち、戦う姿勢をピッチで表現した指揮官が、自身の魂を青山に託した形だ。チームは試合会場で冒頭以外は非公開で調整した。

取材エリアで背番号の話題を向けられた青山は「何番ですか?」と報道陣に逆質問をした。17と知ると「ありがとうございます。今知りました」と淡々と話した。所属の広島では12年にわたり6。けがで離脱したW杯ロシア大会直前の親善試合でも6だった。だが、今回は17を託された。

直近の日本代表の17は、W杯3大会連続でMF長谷部が背負い、キャプテンシーを象徴する番号でもある。青山は「責任感ある番号なのでしっかりプレーします。でも、あまり意識してないです…」と本音を吐露し「6もこだわりはないです。自分のプレーをしっかりできれば」と語った。

森保監督が現役時代、日本代表で背負った番号も17で、W杯米国大会にあと1歩及ばなかった「ドーハの悲劇」でもつけた。中盤で犠牲心を持ってチームのために戦い、当時のFWカズも「水を運ぶ人」と表現。監督になっても選手に求める本質は変わらない。広島で森保監督の下、3度のリーグ優勝を経験した青山はそのイズムを熟知している。

合宿3日目となったこの日の練習前、青山は円陣でチームメートから拍手を浴びた。選手たちは名前こそ伏せたが「主将就任の拍手」だと明かし、青山が森保ジャパン初代主将に就任したもようだ。練習後には「局面の攻防で、厳しさが戦術より上にいっていた。激しいハードな練習だった」と充実感を口にし、続けた。「ミスをした後は代表戦では致命傷だと思う。その後の切り替え、みんなへのカバーが一番大事」。戦術だけでなく、精神面でも支柱になることを意識した言葉。指揮官の「水を運ぶ人」の魂は、愛弟子へ受け継がれた。【岩田千代巳】