オーストリア遠征中のサッカー日本代表(FIFAランク27位)のDF長友佑都(34=マルセイユ)が、おっさんの意地を見せる! 13日のパナマ(同77位)戦で歴代2位となる国際Aマッチ123試合出場がかかる長友が11日、オンライン取材に応じた。コロナ禍の今年はクラブで選手登録を外される屈辱を味わい、10月のオランダ遠征は選出されながら体調不良で不参加となった。雌伏の時を経て、1年ぶりの代表戦へ「魂を見せる」と誓った。

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長友は笑顔で決意表明した。「おっさんの意地、魂を見せる」。08年5月に岡田ジャパンで初めて代表に選ばれてから、12年半が経過した。自身の代表活動は約1年ぶり。前日の10日に練習し「日本代表は自分の原動力になっていると、あらためて実感した」と、初心に帰ったように話した。

練習では、年齢が10歳以上離れた東京五輪世代のDF菅原らが同じ左サイドに入る。「彼らがスムーズに試合に向かえるように」と積極的に声をかける。先発の座を譲る気は毛頭ないが、自らの経験は余すことなく伝えていく。「成長してくれることによって競争というポジティブなエネルギーをもらえる。自分がそれを欲している」。34歳になった今も向上心の塊だ。

コロナ禍の2020年は、長友にとっても厳しかった。前所属のガラタサライ(トルコ)では外国人枠の選手登録から漏れ、試合に出られない期間が続いた末の6月30日、契約満了で退団した。2月から約5カ月、ピッチに立てなかった。それでも「今まで代表やクラブでずっと試合に出ていた。そこでできなかったインプットをしっかりやりたい」と地道なトレーニングを続け、マルセイユからのオファーを勝ち取った。

フランスという未経験の国にも、ぶれない覚悟があったから飛び込めた。

「やっぱり代表がサッカー人生の中心にある。代表がなければマルセイユというチャレンジはしてなかったと思う。厳しい環境、難しい戦いを選べたのは、代表で活躍したいから」

日の丸を背負った122試合で、酸いも甘いも味わった。約1年間の空白を経て情熱はさらに燃え上がった。「長友ここにありというような、必要だなと思われるプレーを見せたい」。ピッチに立った者にしか得られない緊張と興奮に、百戦錬磨の男は飢えている。【岡崎悠利】