<国際親善試合:日本1-0パナマ>◇13日◇オーストリア・グラーツ

3-4-2-1の布陣で前線が機動力を発揮した。サッカー分析会社「データスタジアム」によると、課題だったクロスの成功数は2本にとどまったが、シュートに直結したラストパスの位置は中央に集中し、相手守備網の背後をついたスルーパスは12本成功。サイド攻撃を軸とした4-2-3-1の布陣ではあまり見られなかった中央突破が数多く見られたのは収穫だ。

前半31分、植田の縦パスを南野がスルー。それに反応した久保がダイレクトでさらに縦へ出すと、抜け出した三好が左足でシュートを放った。オフサイドにはなったが、1本の縦パスをスイッチに連係、連動し、相手ゴールへ迫った。

後半14分にも遠藤の縦パスを受けた久保がスルーパス。抜け出した南野がPKを獲得した。前線への鋭い縦パスは森保ジャパン発足時から練習してきた攻撃。特に遠藤がピッチに立った後半からは縦へ意識もより強まった。遠藤は45分間の出場で敵陣への縦パス成功数が11本。82分間で同12本の柴崎に1本差だった。

大黒柱の大迫が不在の中、小兵のそろった前線への浮き球のクロスは効果的ではなかったのかもしれないが、長友、室屋の両サイドのクロスは1本も味方につながらず、サイド攻撃は機能しなかった。主将の吉田は「自分たちの選択肢を広げている段階」と話した。

次戦は強豪メキシコと対戦。中央一辺倒では限界がありそうで、現状ではサイド攻撃、特にクロスの精度に改善の余地を残す。システムはどうあれ、攻撃の幅は広い方がいい。【石川秀和】