バチバチの日韓戦を知る男の言葉には重みがあった。サッカー日本代表DF吉田は「日本代表で戦う以上、最も大事な試合だと思う。代表としてどの試合も大事ですけど韓国代表と戦うことは、それだけ大事だと思う。それは、韓国代表もそう思っているはず。(若い選手には)メディアを通して、この試合の意味を理解してほしい」と口を開いた。

伝統を脈々と受け継いでいく。いつも以上に激しさを増す球際、一触即発のムードが漂うピッチ。いわゆる「日韓戦」を体感してきた1人。「今の時代にそぐわないかもしれないけど」と前置きした上で「(先輩たちから)『足が折れても、体が壊れても、ぶつかっていかないといけない』と言われてきたギリギリの世代。そういう表現で伝えることが合っているか分からないけど、キャリアの中で一番重要な試合になると伝えたい」と言った。

12年のロンドン・オリンピック(五輪)では、3位決定戦で敗れた因縁の相手。親善試合としては、11年8月10日(札幌ドーム)以来の日韓戦。「10年間ずっと対戦することを楽しみにしていた」と、闘志は全開。「歴史的にライバル国、個人的には、ロンドン五輪で負けたときは、悔しくて、2度と負けたくないと思った」。親善試合、されど日韓戦。やるか、やられるか。吉田は主将として、その思いを体現する。【栗田尚樹】