「2020+1」の新生なでしこジャパン(女子日本代表)がお披露目された。1年1カ月ぶりの国際試合で、パラグアイ(FIFAランク47位)に7-0と快勝。1年前までFWだったDF宝田沙織(21=スピリット)は、主将DF熊谷紗希(30=リヨン)不在のセンターバックでアピールに成功した。同じく複数ポジションをこなすMF北村菜々美(21=日テレ)もデビューし、18枠の東京五輪メンバー入りをかけたサバイバルがさらに激化した。

宝田の技術が光った。後半18分、GKとFWの間に落ちる絶妙なフィードで、FW岩渕のこの日2点目をアシストした。「ハーフタイムにFWが『斜めの動きをするから蹴ってくれ』と話していた。そこが見えたので蹴ったら、ちょっとミスったけど、ゴールにつながった」と照れた21歳のセンターバック(CB)。五輪延期が決まった1年前はFWだった。

コロナ禍で招集がかなわなかった主将DF熊谷に代わって、DF南とCBを組んだ。19年女子W杯フランス大会での代表デビュー時はFWだった。昨季、所属のC大阪堺でDFラインに負傷者が相次ぎ、急きょCBを務めた。なでしこジャパンでも10月の候補合宿からCBに挑戦し、高倉監督からはは「ポテンシャルの高さを感じた。培ってきたFWとしての能力、つなぎやパスに期待を込めてDFにした」と評価された。

今冬にはFWとしての能力を買われて米スピリットに移籍したが、「東京五輪に対する思いが強いので、自分から監督に『後ろで経験を積ませて欲しい』と話した」と、チームでもCBでの挑戦を選んだ。この日は米国でも磨いてきた足元の技術をアピールし、「(五輪メンバーは)人数が限られるので、1人で複数のポジションができるのはプラス。極めていきたい」と自信を深めた。

左サイドバックが本職の北村は、デビュー戦ながら右サイドハーフを務めた。参考にしているのは、昨季まで所属したC大阪堺で同位置のMF坂元の動き。高倉監督は「判断よく足元にボール付けてプレーに絡んでいた」と評価した。また28歳FW浜田、18歳MF木下も途中出場でデビュー。MF籾木の得点をアシストした木下は「五輪代表など、これからも選ばれていきたい思いが強くなった」と話した。五輪延期の1年で評価を高めた新戦力が、ラストサバイバルに名乗りを上げた。【杉山理紗】