日本(FIFAランク28位)が、アウェーの洗礼を受けながら、ベトナム(同98位)に1-0で辛勝した。追加点と思われたMF伊東純也(28=ゲンク)のミドルシュートはビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)で取り消され、ピッチはでこぼこ。欧州組の一部は、移動トラブルに見舞われた。悪条件の中、オーストラリア戦(埼玉)から2連勝とし、勝ち点を9に伸ばし、W杯本戦出場へ弾みをつけた。11月シリーズでの反転攻勢へ、中4日で16日(日本時間17日)に敵地でオマーンと対戦する。

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毅然(きぜん)と胸を張った。試合後のフラッシュインタビュー。森保監督は「我々は厳しい状況の中勝たないといけない試合で」と始めた。常にはびこる自身の進退問題。引き分け以下で、苦しい立場にあった。マスク越しにも、分かる大きく見開いた目。覚悟が映し出されていた。「選手はプレッシャーのかかる中、ハードワークをしてくれて、アウェーで難しい戦いで勝利をつかみ取ってくれたことは良かった」と締めた。

一筋縄では進められないアウェーの地だった。VARの判定は、5分も掛かった。1-0の前半40分。相手の左CKからのカウンターで、伊東がゴールのニアサイドをぶち込んだ。ただ、主審が手を上げた。通常ならば、2分ほどで完結するVAR判定。アウェーの洗礼なのか-。2倍以上の時間を要した。まして疑問符がつく判定。シュートコースに入っていない田中の立ち位置がオフサイドに。普通ではなかった。

落ち着いて、ピッチを進めることもかなわなかった。デコボコなピッチのミーディンナショナルスタジアム。ボールを少し運べば、予想外の方向に跳ねる“足場”。前半17分。左サイドを抜けだした南野は最後の最後までボールを見つめ、中央へ折り返し。相手を振り切った伊東も、丁寧に左足で合わせた。貴重な勝ち点3を生み出した先制ゴールも、簡単なものではなかった。

移動すら、予想通りには進まなかった。先発した5人を含めた欧州組11人は、飛行機トラブルに見舞われた。オランダ・アムステルダムから出発したチャーター機は、給油で立ち寄ったロシアの空港で約10時間の足止めを食らった。ビザの関係で飛行機から降りることも許されず。約24時間、丸1日のフライト。森保監督は「これまで我々がやってきたコンセプトの中、ベトナム戦に向けて準備をしてきたことで、選手が合わせてくれて、今日の試合にプレーで表してくれたと思う」と最敬礼だった。

戦いは続く。次戦はオマーン戦。W杯初戦で敗れた相手とのリベンジマッチ。「勝つことが一番なので、そこを求めてやっていきたい」と言った。「1回負けた相手に、アウェーとはいえしっかりと勝って、我々がW杯に向かって前進できるようにしたい」。何が起きようと、どんな状況でも、勝利が求められる日本代表。森保監督が、その先頭に立つ。【栗田尚樹】