日本(FIFAランク23位)が、世界的強豪と渡り合うすべを見つけた。王国ブラジル(同1位)を相手に押し込まれて敗戦したものの、失点はFWネイマール(30=パリ・サンジェルマン)に決められたPKの1点のみ。過去2分け10敗のうち10試合で前半に失点していたが、“魔の前半”もクリア。DF吉田麻也主将(33=サンプドリア)を中心に、粘り強い守備で、スペイン、ドイツと強豪の待つ、11月のW杯カタール大会への収穫を得た。

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勝てなかった。試合終了の笛が鳴ると、吉田主将は視線を落として悔しがった。それでも6万3638人と満員に埋まった観衆からは、雨でずぶぬれになった日本の選手たちの奮闘にあたたかい拍手が送られた。

「その差は、点差以上にある」。吉田主将がかみしめるように言った。シュート数は日本の4本に対し、18本を浴びた。ネイマール、ビニシウスら世界的タレントに、何度もペナルティーエリアへ入られた。最前線で先発したFW古橋を除く10人がペナルティーエリア付近まで戻る場面も。それでも崩され、ポストにも助けられた。

ただ、押し込まれる実力差は認めても、守りを固めるだけの戦いはしなかった。森保監督が「世界で勝つためにやってきた」と語る、「いい守備からいい攻撃」のコンセプト。全員守備でボールを奪う。自陣深くでプレッシャーを受けても安易に蹴り出さず、パスを選んだ。前半で39・8%だったボール支配率は、後半は55・9%に。これまで12戦中、10試合で前半に失点していたが、今回は乗り越え、後半はむしろ自分たちの時間を増やした。

森保監督は「途中で(トライを)やめていれば防戦一方で終わっていた。継続していけば、もっとシュートの形を作れる」。かすれた声には、進んできた道が間違ってはいないという手応えがこもった。

W杯本大会ではスペイン、ドイツという強豪国との対戦が控える。吉田は「これが本戦だった0-0で終えないといけない」と、奮闘にも決して満足しない。指揮官も「勝ち点だったり、我慢強く勝つことができたかもしれないという思い」と同調した。前半から失点を重ねた近年のブラジル戦とは違う。接戦を演じたことで、たとえブラジルでも歯が立たない相手ではないことを示した。歴史的勝利はならなかったが、「いい守備」は世界と渡り合うレベルになりつつある。【岡崎悠利】

【日本代表】王国ブラジルに1点差敗戦 日本戦5戦連発ネイマールPK決勝弾/ライブ速報詳細>>