28日に閉幕したU-20女子W杯(ワールドカップ)コスタリカ大会で、ヤングなでしこジャパンの準優勝に貢献したのが、大会最優秀選手(MVP)に選ばれたFW浜野まいか(18=INAC神戸)だった。大会6試合4ゴールと豊富な運動量が評価された。1年前にINAC神戸に誕生した女子高生プロの素顔とは-。

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浜野は現在、神戸市内にある通信・単位制の高校に在籍する3年生。生活のほぼすべてをサッカーに打ち込める環境にあるという。

165センチ、50キロのサイズで抜群のスピードがあり、前線への抜けだしが武器。1年前、なでしこリーグのセレッソ大阪堺レディースから、WEリーグのINAC神戸への移籍を機に、17歳でプロ契約を結んだ。

当時は大阪・高石市の自宅から早朝6~7時に出発し、神戸市内の練習場へ通っていた。今年1月からは寮生活となり、食事の心配はなく、練習場にすぐに到着できるため、余った時間は筋力トレーニングに費やしてきた。練習場では、MF成宮唯らなでしこジャパンの先輩らがグラウンドを去っても、居残り練習を続ける常連だった。

試合で遠征に出ると、家族のためにお土産を買うのが楽しみ。趣味はメッシら海外選手の映像を見て研究すること。その純粋な姿勢はサッカー好きの小、中学生が、そのままWEリーガーになった印象だ。

初代女王に輝いた21-22年WEリーグでは、開幕戦で2発という華々しい結果を残したものの、その後は選手層の厚いINAC神戸で控えに回り、16試合2得点と尻すぼみに終わった。シーズン途中には、左ウイングなど違うポジションで練習することもあった。

プロ1年目を総括した浜野は「喜び、悔しさ、すべての感情がある」と複雑な思いを抱きながら「FWの方が楽しいけど、いろんなポジションができた方がいい。サッカーって楽しい」という前向き思考だ。

21年3月、当時16歳でなでしこジャパン候補合宿も経験した。今回のU-20W杯を経験し、今後は1年後に迫った女子W杯(オーストラリア、ニュージーランド共催)に向け、なでしこジャパン定着を目指す。

そのためには、2年目の開幕を10月下旬に控えるWEリーグでの活躍は必須だろう。将来は「高いレベルでやりたい」という18歳は、23年女子W杯出場と海外移籍の夢実現のため、この1年は大切になる。【横田和幸】

◆浜野(はまの)まいか 2004年(平16)5月9日、大阪・高石市生まれ。小学4年でC大阪下部組織のエリートクラスに合格し、男子と同じチームでプレー(当時の同期生が同じ高校生プロのC大阪FW北野颯太)。中学2年でC大阪堺に昇格し、なでしこリーグ1部デビュー。19年U-16アジア女子選手権で得点王獲得。21年8月にINAC神戸へプロ契約で移籍。165センチ、50キロ。