日本サッカー協会は1日、ワールドカップ(W杯)カタール大会の日本代表として歴代最多に並ぶ4大会目のDF長友佑都(36=東京)ら26選手を発表した。長友はフィールドプレーヤーで史上初の4度目の選出となり、愛する家族も駆けつけて祝福。前回の18年ロシア大会を戦ったFW大迫勇也(32=神戸)、MF原口元気(31=ウニオン・ベルリン)が“サプライズ”落選する中、悲願のベスト8入りへ熱く闘志を燃やした。

ベルギーに逆転負けした「ロストフの悲劇」、あの悔しさが長友には4年分のガソリンとなった。

「悔しさはずっとつながっている。夢にももちろん出てきたし。ふとした時に(決勝点につながる)あの14秒の光景が自分の脳裏に浮かび上がる。だからこそ、毎日の厳しいトレーニングも頑張れる」

4大会連続のW杯出場は反骨心のたまものだ。無所属の時期もあった。衰えを指摘され、中山ら若手の台頭もあり日本代表での出番は減った。この4年間の道のりは厳しいものだった。「批判はガソリンと言い続けてきたけど、本当にその通り。魂に火を付けてくれて、精神的にも強くなった。メンタルモンスターになれるんじゃないかというぐらい鍛えられた」。

36歳で迎える4度目のW杯には格別の感慨がある。

「4年前も結構オッサンと言われ続けて。そこから4年たっても36歳の長友はここにいると示せた。日々の努力は間違ってなかったと確信を持っている」

再びW杯のスタートラインに立った喜びと同時に、ロストフの悔しさを知る大迫と原口がメンバーから外れたことに少なからずショックを覚えた。「2人の思いも、というのは言い過ぎかもしれないですけど、一緒に戦ってきた仲間の心も一緒にカタールに持っていけるように頑張りたい」。誰よりもエネルギッシュでチームに欠かせぬムードメーカー。自らを「パワースポット的な存在。みんなにエネルギーを届けて、そこに自分も入っていきたい」とどこまでも明るい。

会見の最後には、妻で俳優の平愛梨と3人の愛息がサプライズで登場。「全然知らなかった。さっき電話してたのに」。抱き合って喜びを分かち合った。妻から「4度目の出演、あっ出場(笑い)、本当にありがとうございます。この日のためにすべてを意識して過ごしてきたので、その姿を本当に尊敬しています」とあいさつされると、額にびっしょり汗をかいて笑った。ピッチに立てば日本代表で最多に並んでいるW杯通算出場試合数の「11」も更新するが「出るだけでは満足しない。出て活躍するというのが僕のすべてなので」。

W杯に3度出場しているが悔しい経験をしたW杯の方が多い。だからこそ家族や仲間たちの思いを胸に「W杯の悔しさはW杯で晴らす」。日本の誇る鉄人は、強い覚悟で世界に挑んでいく。【千葉修宏】

◆4大会連続 DF長友とGK川島が4大会連続の選出。日本代表では98年大会から4大会連続のGK川口能活とGK楢崎正剛に並ぶ最多タイ記録。フィールド選手で4大会連続は長友が初。世界記録は5大会連続で、50~66年のメキシコGKカルバハル、82~98年のドイツMFマテウス、98~14年のイタリアGKブフォン、02~18年のメキシコDFマルケスの4人が記録。ブフォン(98年出場なし)以外の3人は5大会連続でW杯のピッチに立っている。なお、アルゼンチンFWメッシ、ポルトガルFWロナウドは今回メンバーに選ばれると、5大会連続。

◆ロストフの悲劇 18年W杯ロシア大会の決勝トーナメント1回戦で、日本はロストフナドヌーでFIFAランク1位のベルギーに2-3で敗れた。2点を先行して大金星に近づいたが追いつかれ、後半ロスタイムのラストプレーでカウンターを受けて逆転を許し、史上初の8強進出を逃した。

<長友のW杯>

◆10年南アフリカ大会 左サイドバックとして全4試合にフル出場。決勝トーナメント1回戦のパラグアイ戦でPK戦の末に敗れた。「ここで流した涙を次につなげたい。僕と圭佑(本田)でサッカー界を引っ張っていきます」と力強く話した。

◆14年ブラジル大会 3試合フル出場も1次リーグで敗退。試合後、自身のブログに「申し訳ない気持ちです。批判してくれる人は自分を成長させてくれます。そのすべてをエネルギーに変えて、必ず成長します」と記した。

◆18年ロシア大会 決勝トーナメント1回戦のベルギー戦で2-3で惜敗。「目指しますよ、4年後も。自分の中で代表は誇りで、小さい時からずっと夢見てきた場所。だから絶対、このユニホームを着てピッチに立ちたい」。