日本が北朝鮮に4-1と圧勝し、大会史上初の連覇を達成した。

アジア大会決勝で日本と北朝鮮が対戦するのは、06、10、14年に続き3度目。過去の対戦成績は1勝2敗と分が悪い相手だった。

前半9分、前がかりにくる北朝鮮に対し、カウンターが決まった。ハーフウエー付近の右サイドでFW山本柚月(日テレ東京V)がボールを受けると、相手DFラインの背後へロングパス。「WEリーグの三笘」との異名を持つMF中嶋淑乃(広島)が左サイドから抜け出し、ワンバウンドしたボールを右足インステップで合わせ、飛び出してきたGKと入れ替わるようにゴールへ送り込んだ。

1点リードしたが、その後はフィジカルに勝る北朝鮮の攻勢を受ける展開。そして前半37分に失点した。クリアボールが相手に渡り、左サイドを起点にゴールまへ折り返し。今大会ここまで11得点しているエースFWキムキョンヨンにグラウンダーのクロスを押し込まれ、同点とされた。

後半に入ると、さらに北朝鮮の圧力に押し込まれる状況が続いた。次々とゴール前飛んでくるクロスボールに対し、175センチの長身GK浅野菜摘(ちふれ埼玉)が体を張ってキャッチすれば、17歳DF古賀塔子(JFAアカデミー福島)は沈着冷静なプレーで相手の攻撃を食い止めるなど、チーム一体となって懸命の守り。耐えながらチャンスを待った。

そして後半20分、待望の勝ち越し点が飛び出した。左CKからゴール前に入ったDF大沢春花(千葉)が頭で押し込み、1点のリード。さらに畳みかけた。後半24分、18歳MF谷川萌々子(JFAアカデミー)が右サイドで切り返すと、ペナルティーエリア外から左足で鮮やかなミドルシュートを決めて3-1。続けざまに後半27分、今夏のワールドカップ(W杯)代表にも選ばれたFW千葉玲海菜(千葉)が右サイドから鮮やかなシュートを突き刺し、4-1。一気に3点差とリードした。

試合前、北朝鮮のラフプレーを懸念する声があった。準々決勝で韓国が再三、激しいスライディングタックルに見舞われた揚げ句、1-4と完敗していた。また、男子のU-22(22歳以下)日本代表が準々決勝で対戦した際、相手の危険なタックルなどラフプレーが繰り返され、日本サッカー協会はこの反スポーツ的行為について、アジアサッカー連盟(AFC)と国際サッカー連盟(FIFA)に対して意見書を提出していた。

しかし終わってみれば、日本がゴールラッシュで圧勝。若い次世代の選手たちを軸に臨んだ代表チームが、アジアの頂点を射止めた。