U-23日本代表のエースFW細谷真大(22=柏)がまたも大一番で決めた。

前半28分、練習で培った絶妙なトラップからの右足シュートで先制点を奪い、チームをパリへと導いた。今季、所属の柏を含めて無得点と沈黙し苦しんできた男が4月25日のカタール戦に続く2戦連発。ケチャップのふたが一気に外れた「ケチャドバ」状態のまま、3日の決勝・ウズベキスタン戦でアジアの頂点へと導く。

練習通りの一発だった。前半28分。細谷は、MF藤田の浮き球パスに抜け出すと、絶妙なトラップからターンで相手をかわし、右足でファーサイドに流し込んだ。「落ち着いてトラップを決めてあとは冷静に流し込むだけだった」。柏で日課にしている居残りシュート練習では、栗沢僚一コーチから「ゴールにパスをするように」とインサイドキックでゴールへ流し込むことを口酸っぱく言われてきた。ゴール右隅へのパスのような丁寧なシュートは、練習のたまものだった。

1月はA代表のアジア杯カタール大会のメンバーに選ばれたが、出場は2試合で不発に終わった。所属の柏でも開幕の京都戦でPKを外し、7戦連続無得点。その中で迎えた今大会で、柏の大谷秀和コーチからは「シュート打てているし、いいんじゃない?」と明るく送り出された。だが、1次リーグから再三の好機を決めきれず。それでもぶれることなく、足を振り続けたのは、幼少期から育まれてきた細谷の強さだ。

小学時代は、柏と提携する「トーア」でプレーし「小学生の頃は(シュートを)外しまくってきた覚えがある。それでも、試合中は落ち込む必要がない、とことん、打ってやろうというのは持っていた」。試合後は反省し課題に向き合う。柏のアカデミー、トップに昇格しても、その姿勢は変わらずエースへと成長し「今は、それが生きてるかもしれませんね」と振り返っている。

負けたら終わりの大一番で2戦連発の決勝弾。「感覚的に戻ってきてますし、取れるっていう自信も出てきている」と、Jリーグで14得点を挙げた昨季と同じ感覚の手応えを口にする。ケチャップのふたが空いたごとく「ドバドバ」と得点が出てきたエース。「しっかり優勝して帰りたい」と、アジア杯で悔しい思いをしたカタールの地で、最高の思い出をつくる準備はできている。【岩田千代巳】