11年後には、さらなる「ドーハの歓喜」を-。ザックジャパンのアジア杯制覇で勢いづく日本協会が、22年カタールW杯に向けてカタール・ドーハの総合スポーツ施設を育成年代の海外強化拠点に据える計画が浮上した。23日、日本協会関係者が明かした。アジア杯期間中の先月中に原博実強化担当技術委員長(52)が同施設を視察済みで、02年日韓W杯の日本代表監督で、カタール代表監督も務めたフィリップ・トルシエ氏(55)が「仲介役」になった。育成年代をW杯開催地の環境や文化に慣れさせ、22年W杯優勝につなげる狙いだ。

 日本サッカー界が既に動きだしていた。アジア杯1次リーグ・シリア戦翌日の1月14日、原委員長と大仁副会長はドーハ市内の巨大施設「アスパイア・ゾーン」を視察していた。

 広大な施設に潤沢な資金を投入した競技場や練習場が並ぶ。原委員長は驚嘆の声を上げた。「室内サッカー場もあり、天然芝のサッカー場も何面もある。隣接するホテルもあって環境は素晴らしい」。

 カタール協会と日本協会の「仲介役」はトルシエ氏。03年8月から1年間カタール代表監督も務め、相互にパイプがあり、カタールをたつ直前の14日昼すぎに、両者を引き合わせていた。

 この施設が、今後の日本サッカー育成年代強化の「中東拠点」の有力候補地になる。その理由を原委員長は「カタールの1、2月は過ごしやすい。冬休みに育成年代を連れてきて合宿するのもいいと思う。(カタール協会側には)ぜひ合宿で使ってくださいと言われた」と説明した。1月に同施設でバイエルン、インテルミラノが合宿。下部組織が帯同するケースもあり、大仁副会長は「練習試合を組むのに不自由しない」と言った。

 11年後の22年カタールW杯は「1月開催」の可能性がある。育成年代が毎年1月にカタールで強化合宿する効果は計り知れない。

 中東各国では長期政権に対し、反体制派が改革を求める構図が連鎖反応を見せ続けている。バーレーン、イエメンでは政情不安を露呈。カタールの情勢は安定しているが、日本協会関係者は「中東の今後の状態を慎重に見守る」との立場を取る。長期的ビジョンに立ち、揺れる中東で万全の準備を。日本協会は情報収集に余念がない。