W杯ドイツ大会で初優勝を成し遂げ、日本サッカー界に歴史を刻んだなでしこジャパンが1日、団体としては史上初となる国民栄誉賞を受賞することが決まった。政府は2日の閣僚懇談会で枝野幸男官房長官が報告後、記者会見で正式発表する。栄誉賞は19例目となる。国民栄誉賞授与は枝野氏が7月25日の会見で意向を表明。政府は関係者らの意見を踏まえて最終調整を進めていた。いまだ冷めやらぬ「なでしこフィーバー」に、さらなる追い風が吹いた。

 政府が、なでしこジャパンに国民栄誉賞を授与する方針を固めた。国際サッカー連盟(FIFA)が主催する大会で、男女を通じて史上初めて日本に優勝をもたらした快挙に、与野党からも「東日本大震災で苦しむ日本に多くの感動を与えてくれた」と同賞に推す声が上がっていた。

 国民栄誉賞は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与える顕著な業績があった者」が対象。これまでプロ野球の王貞治氏や歌手の故美空ひばりさんら計18人が受賞。佐々木則夫監督は帰国後、同賞を推す声が上がったと聞き「過去受賞された方々はすごい人ばかり。我々の金メダルがそれに値するかどうかは判断できないが、そういう声を上げていただいただけでも光栄なこと」と話していた。

 なでしこフィーバーはとどまるところを知らない。帰国後はメンバーが縁のある各自治体から次々と表彰された。W杯優勝トロフィーなどが展示されている「日本サッカーミュージアム」(東京・本郷)は、史上最多の来場者数を記録。19日に開催される「東日本大震災復興支援チャリティーマッチ

 なでしこジャパン-なでしこリーグ選抜」(国立)は、午後7時からフジテレビ系列のゴールデンタイムで全国生中継されることが決まった。

 なでしこリーグでも7月24日のINAC-千葉には1万7812人、同31日のINAC-岡山湯郷戦では、2万1236人のファンが駆けつけ、女子史上最多動員記録を更新した。

 9月1日からはロンドン五輪アジア最終予選(中国)が始まる。同五輪には上位2カ国が出場する。アジアの強豪5カ国との対戦は、決して楽観できない。そんな中、今回の受賞は大きな励みになりそうだ。