<ロンドン五輪アジア最終予選:日本1-0オーストラリア>◇第3戦◇5日◇中国・山東スポーツセンター

 なでしこジャパンがロンドン五輪アジア最終予選第3戦で難敵オーストラリアを下し3連勝で勝ち点9に伸ばし、ロンドン五輪出場へ王手をかけた。

 会心の勝利とは言えない試合内容。佐々木則夫監督(53)に笑顔はなかった。「まだまだ本調子ではない」。相手GKの好守もあったが特に前半は、決定機を逃し続けた。ピッチに向けた指示の声はいつにも増して大きくなった。「こういうゲームはサッカーではいくらでもありますから」。試合後、自分に言い聞かせるように語った声は、かれていた。

 「最大のヤマ場」。指揮官が気を引き締めて臨んだ天王山の一戦だけにベンチに座っていられなかった。前半途中には、主将のMF沢をライン際に呼び寄せ、攻守のバランスを確認。先制後も「もっと詰めろ!」と声を張り上げて鼓舞し続けた。

 貴重な決勝ゴールは、強いこだわりと、判断が呼び込んだものでもあった。後半17分、前線で踏ん張ったFW永里優のパスをFW川澄が冷静に決めた。FWの選択肢が多い中、川澄を軸に据え、タイ、韓国2連戦でフル出場させた。永里優の先発起用は、前線で起点となるフィジカルコンタクトの強さを買った。狙いはズバリ当たった。

 それでも決定機をことごとくものにできなかった点は大きな不安材料。次戦の相手は、今回の最終予選で最大のライバルとなった北朝鮮。「相手の動きが悪くて助かった」というこの日のような戦い方では勝たせてくれない。「ここまで来て2連敗で落としたら『間抜け男』。精いっぱい頑張る」と力を込めた。