【済南(中国)9日=鎌田直秀】FW丸山桂里奈(28=千葉)が明日11日の最終戦中国戦に五輪本番への生き残りをかける。2012年ロンドン五輪の出場権を獲得したなでしこジャパンだが、本大会では登録人数が20人から18人に減少。W杯ドイツ大会の準々決勝ドイツ戦で決勝点を決めた丸山も、今大会はわずか1試合、8分の出場にとどまり、メンバー残留が危うくなっている。自身のロンドン切符をかけ、今年の代表最終戦で起死回生のゴールを目指す。

 試合出場と得点に飢えたストライカーが、強引なまでにシュートへのこだわりをみせた。GKを含めた5対5の練習で前めの位置に入ったFW丸山は、無理な体勢からでもGK海堀が守るゴールめがけて蹴り込み続けた。

 ロンドン五輪出場決定から一夜明け、佐々木監督も急きょプレーに加わるなど、時折笑いが沸き起こる練習の中、丸山だけは必死の形相だった。W杯ドイツ大会準々決勝の延長後半に劇的決勝弾を決めて以来、なでしこジャパンではノーゴール。今大会も第3戦のオーストラリア戦で後半37分からロスタイムを含めても約10分間出場したのみ。北朝鮮戦で交代枠を1つしか使わなかった指揮官が「控え投入より安定感をとった」と話したように、完全な信頼を勝ち取っていない危機感が闘争心に火をつけている。

 丸山

 やっぱ、出たいですよ。一生懸命の気持ちとか頑張るのは当然のこと。自分らしいプレーでノリさん(佐々木監督)にアピールしたい。それはドリブルで仕掛けてゴールを狙うこと。

 北朝鮮戦後にも「ロンドンのメンバーもどうなるか分からない。不完全燃焼続きなので、とにかく試合に使って欲しい。めっちゃ調子はいいんですよ」と胸の内を明かしていた。

 FWのライバルは今大会の代表だけではない。右足首捻挫の影響で招集を見送られた岩渕真奈(日テレ)や、W杯のバックアップメンバー山口麻美(スウェーデン・ハマルビー)に加え、なでしこリーグ選抜のメンバーも虎視眈々(たんたん)と狙っている。また、U-19(19歳以下)女子日本代表の京川舞、仲田歩夢(ともに常盤木学園)ら下の年代からの抜てきも可能性がある。

 前夜、五輪出場決定の瞬間は宿舎内で同部屋の安藤とテレビ観戦していた。オーストラリアの得点シーンには廊下に飛び出し、MF宮間ら仲間たちとハイタッチ。試合終了後にはMF沢、大野らとDF近賀の部屋に詰め掛け、喜びを分かち合った。

 丸山

 よかったです。3大会連続?

 そうでしたっけ?

 めでたいですよね。日本は盛り上がっているんですかね。情報ないですよね。女子サッカーにとって五輪は大きな目標。五輪で本当に強いことを証明したい。そうしないとW杯がまぐれだと思われてしまう。

 なでしこの“宣伝部長”は独特のユーモアを交えながらも、五輪への決意を話す時だけは真剣な表情へと変わる。丸山自身も04年アテネ、08年北京に続く3度目の五輪で初のメダル獲得に挑む。まずは中国戦での得点で、生き残り競争の先制ゴールを狙う。