<ロンドン五輪アジア最終予選:日本1-0中国>◇第5戦◇11日◇中国・済南オリンピック・スポーツセンター

 MF田中明日菜(23=INAC)が難敵中国を撃破する貴重な決勝弾を決め、若手1番星をアピールした。すでに五輪出場を決めた日本は、8日の北朝鮮戦から主力7人を入れ替えた若い先発布陣で、中国との最終戦に挑んだ。後半12分、控え組から先発したMF田中がアピール弾を決め、ロンドン五輪へのサバイバル戦へアピールした。若手守備陣も健闘した。

 若手のサバイバルレースで、真っ先にアピールしたのは初戦のタイ戦でもゴールを決めた23歳のMF田中だった。

 難敵・中国に攻め込まれながらも耐え続けた後半12分。DF岩清水のヘディングシュートがゴールバーにはね返されたところを、田中が強引に左足で押し込んだ。

 田中

 イワシさん(岩清水)から折り返し来るかなーと思っていたので、後は当てるだけでした。

 読み通りの1発も淡々と振り返った。

 過密日程を考慮し1日の初戦タイ戦も佐々木監督は若手中心の布陣で臨んだ。格下相手に3-0と勝利はしたものの、チグハグなサッカーで主力組との力の差を露呈。すでに五輪出場権を獲得していたこの日の最終戦は、若手にとって“再テスト”の場でもあった。田中を含めDF矢野、MF宇津木も必死にアピールした。

 田中

 出られなかった3試合分も「やってやろう!」と意気込んでました。内容にこだわっていたけど、なかなか出来なかった。(良かったのは)ゴールだけ。

 監督からは「良くやってくれた」と及第点を与えられたが、納得いかないプレーの数々に表情はさえなかった。それもそのはず。ロンドン五輪のメンバーは18人。今回の20人からでも単純に2人が削られる。特に田中が狙うボランチは大黒柱の沢、攻守の起点となるMF阪口で2人の壁は高い。沢もあえて厳しく言った。「欲を言えば若い子たちがもっと中堅や上を脅かしていかないと。でも、なでしこはまだまだ伸びしろがあるから」と若手の奮起に期待した。

 田中

 沢さん、阪口さんがいますけど、食い込めるように頑張りたい。

 W杯優勝からロンドン五輪でも金へ-。史上初の快挙に向け課題は多いが、たくましい若手の成長が夢を現実にする。【鎌田直秀】