次世代のなでしこジャパンを背負うのは「楓ちゃん」だ。日本女子代表は23日、千葉県内に移動して合宿を行い、26日の親善試合ナイジェリア戦(フクアリ)に備えた。初招集組6人の中で、DF佐藤楓(21=大阪高槻)はフットサル代表として国際大会に出場した異色の経歴の持ち主。フットサルへの未練は胸にしまい、今はサッカーに全力を注ぐ。

 佐藤は初招集とは思えない動きを見せた。紅白戦では3バックの左として、代表常連のDF岩清水と好連係を見せた。「サイドバックで多く攻撃参加して、少しでもチームに貢献したい」とナイジェリア戦をにらむ。故障のDF鮫島(仙台)に代わって追加招集された身だが、このチャンスに遠慮するつもりはない。

 昨年まで2年連続で、日本代表として世界女子フットサルトーナメント(ポルトガル)に出場した。小学時代はサッカー少女だったが、中学から両立を始めた。「足元はうまくなった。守りでも1対1でも負けなくなった」。Fリーグや、三浦知良(横浜FC)が出場した昨秋のフットサルW杯も注目。「同じ立場として、自分もカズさんみたいに頑張りたいと思った」と刺激を受けた。

 父親が地元の大分市内でフットサル場を経営する。世界女子フットサルトーナメントが数年後に「フットサル女子W杯」になる話もあり、佐藤は「未練は少しあります。(W杯になったら)出たくなるけど、それは置いといて、今はサッカーを頑張ります」と宣言した。佐々木監督も「見た通り体もしっかりしてるし、右足も左足も安定したキックができる。あとはボールを持たない時の部分をもう少しレクチャーしていけば、先々楽しみな素材」と期待した。

 漫画「キャプテン翼」の作者高橋陽一氏が描いた日本女子代表のキャラクター「楓ちゃん」のように、佐藤が独自の経験を武器にスターに上り詰める。【由本裕貴】

 ◆佐藤楓(さとう・かえで)1992年(平4)1月4日、大分県生まれ。小学校から地元クラブでサッカーを始め、キヤノン杯などにも出場。中学からフットサルも始める。11年にはサッカーのU-19女子代表に選ばれ、翌年に福岡ANに入団。FWからDFに転向し、今季から大阪高槻。家族は両親、兄、姉。名前の由来は、父が好きだったドラマの登場人物。170センチ、58キロ。