【ドーハ17日=木下淳】リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねるU-23(23歳以下)アジア選手権(カタール)で、日本が1次リーグB組を首位通過した。前日16日にタイを4-0で下した後、北朝鮮とサウジアラビアが引き分けたため1位での準々決勝進出が確定した。22日午後4時30分(日本時間午後10時30分)にA組2位(相手未定)と戦う。タイ戦ではFW久保裕也(22=ヤングボーイズ)が大会初を含む2得点。スイスに渡って2年半の海外組が貫禄を示した。

 タイ戦から一夜明け、久保はボール回しなどで汗を流した。出場時間が約20分と短かったため、サブ組の練習に交じって19日の第3戦サウジアラビア戦、22日の準々決勝に向けて調整した。前日のタイ戦は手倉森ジャパンで自身初となる2得点。表情も明るかった。

 その得点は、途中出場のわずか4分後だった。2-0の後半30分、DF岩波のスルーパスでDFの裏を取り、ドリブルで持ち込んで右足を振った。GKに触られたが威力が勝り、ふわっと浮いた軌道でゴールに吸い込まれた。同39分もペナルティーエリアに進入し、DFに蹴り倒されてPKを獲得。自らゴール左隅に流し込んだ。初戦の北朝鮮戦は先発も無得点。「FWが点を取れば波に乗れる。(南野)拓実が誕生日だったからPK譲ろうかと思った」と明かす余裕も見せた。

 1試合2発は15年8月15日のスイス杯クリエンス戦以来。14年11月27日には欧州リーグのスロバン・ブラチスラバ(スロバキア)戦で2得点。同リーグでの複数得点は岡崎慎司以来、日本人2人目だった。固め打ちに「もちろん決めると乗ってくるタイプです」。一夜明けのシュート練習もほとんど枠を外さなかった。

 一番乗りした決勝トーナメントへ、久保の肩の荷が下りたことは大きい。12年のU-19アジア選手権は準々決勝で敗退。エースと期待されたが、4試合無得点でU-20W杯を逃した。当時は1トップ。「自分が決めなきゃと背負い込みすぎていたし、いま思えばチームもバラバラだった」。反省を胸に、周囲と連係して奪った点の意味は大きい。

 まずは第3戦サウジアラビア戦に集中する。「グループ1位が決まったけど次も勝って勢いに乗りたい。僕らFWが点を取ったことで流れに乗れる」。A組2位との準々決勝に向けても「相手はどこでもいい。その時、うちらはもっと良くなっている」。海外組の期待に応えるゴールを量産していく。