J2磐田は途中出場の元日本代表DF駒野友一(34)が今季初得点を挙げ、群馬に競り勝った。後半29分からピッチに入ると2-2で迎えた同41分、直接FKを決めて劇的な逆転勝利を演出した。MF川辺駿(20)の先制点後、後半に入って2失点を許したものの、同38分にMF太田吉彰(32)が同点弾を決めるなどベテラン勢が活躍。J1昇格に向けて貴重な勝ち点3を奪い取った。

 キンモクセイの香りが漂うピッチで、駒野は雄たけびを上げた。2-2で迎えた後半41分、ゴール正面、約25メートルの位置でFKを獲得。左利きのMF上田康太(29)もキッカーの位置に立ったが「自信があるから」と譲らなかった。右足シュートは壁に当たり、コースが変わる。相手GKの逆を突いて右隅へ。今季初得点を挙げ「壁に当たって入ったのは納得していないけど、1点は1点。初得点を決められてよかった」と笑顔をみせた。

 ベテランの底力だ。運動量の減少でリーグ4試合で先発を外れ、8月8日の京都戦(3-3)以来の出場だった。その間、大学生との練習試合に先発し、若手に交じってFKを居残り練習。出番がなくても腐らない。地道な姿勢が決勝点につながった。ベンチには駒野の他、MF松井大輔(34)らベテランが入り、平均年齢は30・5歳。名波浩監督(42)は「ここはオッサン連中の力を借りようかなと思った」と説明した。

 駒野は「オッサンの自覚はありません」ときっぱり。悲願のJ1昇格に向け「負けられない試合が続く。チームに貢献したい」。秋を告げる香りが漂うシーズン終盤。ラスト9試合、ジェイ離脱の中でベテラン勢がチームを救う。【保坂恭子】