あと3分だった。あと1点が足らなかった。C大阪は、1年でのJ1昇格は果たせなかった。天を仰ぎ、しゃがみ込む選手たち。MF関口はあふれ出る涙をこらえきれなかった。

 後半15分、FW玉田圭司(35)が関口とのワンツーで抜け出し、最後は左足を伸ばしてゴール中央に突き刺した。J1昇格をたぐり寄せる先制点。しかし、J1に王手をかけていたのは27分間だけ。同42分に浴びた同点弾で、夢は一瞬で飛び散った。

 「選手はよく頑張ってくれた。自分たちのサッカーをやり通してくれた。最後の最後、守備のコントロールができれば良かった。本当の意味でセレッソの底力が足りなかった」

 リーグ最終節とPO2試合の3試合限定で指揮を執った大熊清監督(51)は、悔しさを押し殺した。先制点を挙げた玉田も「力不足。(得点しても)勝ててないので意味のないゴール」と言葉少なだった。

 来季もJ2での戦いとなり、日本代表のMF山口蛍主将(25)が退団する可能性が出てきた。もともと海外志向が強く、クラブ首脳は「いい話があれば、出ていくだろう。1年間J2でよくやってくれたので」と引き留めはしない方針だ。欧州に強いパイプを持つ代理人によると「ハノーバーが興味を示している」という。この日はブンデスリーガで腕利きの代理人トーマス・クロート氏も試合観戦に訪れた。来季こそJ1昇格へ。C大阪はまず、戦力の確保が必要となる。【小杉舞】