夏の全国高校総体で2連覇した東福岡が、遠野(岩手)を下し、98年度大会以来3度目の全国制覇へ好スタートを切った。前半に得意のセットプレーで先制すると、後半も2得点。優勝候補筆頭の東福岡は、前回3回戦敗退で断たれた高校総体に続く「夏冬2冠」達成への挑戦が再び始まった。2回戦は2日に実施される。

 3大会連続17度目出場の東福岡が「夏冬2冠」取りへ好発進だ。前半12分、左CKをファーサイドのDF小田が打点の高いヘディングで先制した。小2~6までバレーボールで鍛えた抜群の跳躍力で跳ね、先制の一撃に魂を込めた。

 後半4分、左CKからDF福地の強烈なヘディングを相手DFがクリアミスするオウンゴールを誘発。同10分にはMF三宅のボレーが突き刺さった。

 初戦の3発快勝に、森重監督は「チャンスでシュートを決めきれないとか気になる点もあったが、中身よりもまず勝つことが大事。初戦をまず勝てたことが良かった」と及第点を与えた。

 Jリーグに進んだMF中島(横浜)、MF増山(神戸)らを擁した昨季のタレント軍団からの主力は2人しか残っていない。新チームは成績がともなわず、コーチから「史上最弱」と評されてきた。だが、小田が「やってやろうという気持ちになった」と、チームを代弁する反骨心を原動力にはい上がってきた。

 今夏の全国高校総体を制し、Jリーグのユースも参戦するプレミアリーグ西地区でG大阪に続く2位に輝いたことも実力の証しだ。志波総監督は「レベルが高いとは思わないが、チームのために戦おうとする姿勢が見られる。1年間よくここまで成長した」と目尻を下げた。前回大会は3回戦で敗れ、全国高校総体との「夏冬2冠」の夢は断たれた。だが今回、17大会ぶりの優勝を飾り、今度こそ目標を成し遂げる。【菊川光一】

 ◆東福岡の高校3冠 97年度の全国高校選手権を制したシーズンは全国高校総体、全日本ユースも優勝し、史上初の「高校3冠」を達成。主な主力に本山雅志(来季J2北九州)らがいた。