J1残留の行方を占う直接対決は、痛み分けに終わった。15位の北海道コンサドーレ札幌は13日、本拠地の札幌ドームで同勝ち点で順位が1つ上のヴァンフォーレ甲府と対戦し、1-1で引き分けた。前半10分、加入後初先発となる元イングランド代表FWジェイの一撃で先制したが、後半28分に失点し虎の子を守りきれなかった。順位を上げることはできなかったが、今後の戦いの糧にする。

 同点で迎えた後半45分、ゴールまで31メートルの位置で獲得したFK。DF福森が得意の左足で狙った勝ち越しゴールは、ボール1個分ほど、わずかに左のポストを外れた。J1残留争いのライバル甲府との直接対決は、追い付かれてのドロー。最高潮を迎えていたスタンドの興奮は、一瞬にしてため息に変わった。「ホームだったので、勝って弾みをつけたかったというのが率直な気持ち」と、逃した勝ち点3を悔やんだ四方田監督だったが「最悪ではない。まだまだ、今後につながる試合だった」と、すぐに前を向いた。

 チーム得点王のエースFW都倉を出場停止で欠いたため、元イングランド代表FWジェイ、タイ代表MFチャナティップ、ブラジル人FWヘイスと、3カ国の多国籍トライアングルで前線を形成。前半8分、右サイドでボールを受けたチャナティップが、ゴール前のジェイへ絶妙クロスを供給した。滞空時間の長いジェイのヘディングシュートは右へ切れたが、先制点への期待が高まった。その2分後にジェイが相手GKの股下を抜く、技ありの右足シュート。加入後、初先発の背番号48は「とてもいいパスが来たからね」と事もなげだが、エース不在の不安を、開始10分で払った。

 磐田退団後、夏場にJリーグへ復帰したジェイには、信念がある。「ネガティブなことではなく、ポジティブに考えて」。反省はしても、成功を信じる。この日、札幌のシュート5本のうち、4本がジェイだった。「信じてトライを続けることが大事。シュートをしないとゴールは生まれない。くじも買わないと当たらない」。下を向く暇はない。3試合ぶりの勝ち点を生かすために、次節、上位の川崎F戦で敵地に乗り込む。【中島宙恵】