ベガルタ仙台はアウェーで2-1でアルビレックス新潟に逆転勝利し、2連勝した。1点ビハインドのまま終盤に入ったが、後半37分にFW石原直樹(33)がこぼれ球を詰めて同点に追いつくと、同41分にMF三田啓貴(26)の左足シュートで逆転に成功。同日に仙台育英が甲子園で見せた逆転劇と重なる展開で、4月30日の第9節清水戦以来、約4カ月ぶりとなる敵地勝利を挙げた。

 逆転劇の立役者・三田は得点後、ベンチ前に向かう途中、うれしさのあまりにピッチに倒れ込んだ。歓喜に沸く仙台イレブン。土壇場での逆転は、約500キロ離れた高校野球の聖地で宮城県代表校が見せた大熱戦と重なる。渡辺晋監督(43)は「仙台育英も2-1で逆転勝利したと聞いた。ともに街を盛り上げて行ければ」と語った。

 前半に悔しい失点を喫し、追い込まれていた。同23分。相手FWのシュートを主将のMF富田晋伍(31)がゴールライン手前で防いだと思われたが、ゴールラインを割っていたと判断され、新潟の先制点が認められた。以降、主導権を握られ苦しい展開になった。だが仙台育英と同じく、途中出場組が光った。後半25分。同21分に途中出場し移籍後初デビューしたばかりのMF野津田岳人(23)が、FW西村拓真(20)のスルーパスに飛び出し左足でシュートを放った。

 これで勢いづいた。同37分の石原の同点弾は、同34分にピッチに入ったFWクリスラン(25)が左サイドの角度のない位置から放ったシュートからだった。「ベンチにいる選手で何とかしてやろうという思いが強かった」とクリスラン。自身の投入で相手センターバックが1枚増え、バイタルエリア(中盤とDFの間)が空き、三田の左足ミドルの決勝弾が生まれたと分析してみせた。

 同日にアウェーの中、2つの宮城代表が土壇場で逆転勝利。しかも仙台は久しぶりの敵地勝利だ。三田は「俺たちに仙台育英の魂が乗り移りましたね」と笑顔で会場を後にした。【秋吉裕介】