クラブ初の4強進出が見えてきた。ベガルタ仙台はホームで鹿島アントラーズを3-1で破った。後半15分にMF中野嘉大(24)が先制点を挙げ、同19分にMF奥埜博亮(28)が追加点。1点は失ったが同40分に奥埜がダメ押し弾。サイド攻撃とFW野沢拓也(36)の起用が光り、リーグ2戦完敗の屈辱を忘れさせる得点の嵐でホーム&アウェー方式の準々決勝初勝利。敵地での9月3日の第2戦で、歴史を塗り替える。

 見違えた姿に、サポーターは酔いしれた。リーグ2戦で得失点差マイナス5と苦しんだ強豪を見事に粉砕した。渡辺晋監督(43)は第2戦を見据えて多くを語らなかったが、「いろいろな狙いを持って準備してきた」と自信をのぞかせた。

 サイド攻撃で鹿島DF陣を崩した。先制点は中野がドリブルを仕掛け、左サイドの角度のない位置からパスを野沢がシュート。惜しくもCKになったが、CKから野沢が入れたボールはDF大岩に当たり、中野がこぼれ球を詰めた。「カットインから決め切れていないんで」と控えめだったが、前日に左サイドがポイントになると指摘した通りの結果になった。

 相手を突き放した3点目は右サイドからだ。前半に精度の高いクロスを送ったDF古林に代わって入った、DF蜂須賀孝治(27)の好クロスが生んだ。仙台大の先輩奥埜に「ほとんどハチのゴール」と言わしめると、「どこでどういう動きをするか、人よりわかっている」と照れた。「相手は4-4-2なんでサイドでフリーになるから仕掛けられる」。これまでの敗戦を糧とした。

 起用も的中した。渡辺監督はFW野沢を古巣戦に約3カ月ぶりに先発起用。「百戦錬磨で、古巣相手ということで気持ちも入る」と期待し、試合当日に決断した。古巣の強さを身をもって知る野沢は「今日のゲームに満足せず、この3日間が大事になる」。優位性を過信せず、敵地に乗り込みたい。【秋吉裕介】

 ◆準決勝進出条件 勝敗数が同じ場合は、次の順によって決定する。<1>2試合の得失点差<2>2試合におけるアウェーゴール数<3>第2戦終了時に30分間(前後半各15分)の延長戦<4>PK方式。なお準決勝も同様の規定が適用される。