川崎フロンターレのFW小林悠(29)が、公約通りのゴール&パフォーマンスで、チームを2位浮上に導いた。J1最少失点の横浜F・マリノスとの神奈川ダービーで3発快勝。小林は1点リードの後半12分、右足ミドルシュートで勝利を決定づける2点目を豪快に決めた。ゴール後には、陸上男子100メートル世界記録保持者で、6日に対面したウサイン・ボルト氏の「ボルトポーズ」を決めた。今季13点目を挙げ、得点王争いでも主役を狙う。

 日本人初の100メートル9秒台が飛び出した日に、小林が世界最速男のポーズを決めた。後半12分、左サイドでこぼれ球を拾うと中央へ切り込む。ペナルティーエリア外から右足を振り抜くとゴール中央上、横浜GK飯倉の頭上に突き刺した。「絶対に今日決めたいと思っていたので、あそこはシュートを打つと決めていた。思い切り打つことだけ考えた」。勝利をたぐり寄せる2点目を決め、競技は違えど陸上競技場でボルトポーズを決めて喜んだ。

 MF家長が3点目を決めると駆け寄り、観客席前の陸上トラック部分で、MF中村らと再びボルトポーズを決めた。ボルト氏とは実は6日に対面。ともにプーマ社と契約する関係で、川崎Fの練習場を訪れた同氏に「準備しているから本番一発勝負でも笑顔でいられる」とアドバイスされた。小林は「準備は大事だと思った。点を決めてポーズをする」と感銘を受けた。この日も「チャンスは必ずある」と冷静に、準備を怠らずに有言実行につなげた。

 もともと同氏への尊敬は強かった。12年5月の仙台戦でも同氏の競技用シューズと同じデザインを施したスパイクを履いて得点。同じスパイクを履いた選手は多かったが、その中でJリーガー最速のゴールだった。日本最速となった桐生同様、同氏から受けたアドバイスを最高の結果につなげた。

 これで今季13得点とし、得点王争いにも割って入る構えだ。それでも「チームが勝つことが一番。そのために点を取っているだけ」と話す。日本がW杯出場を決め、メンバー再編が叫ばれる中、再開初戦のJ1で代表復帰もアピールする一撃となった。【高田文太】

 ▼ホーム連続試合得点 川崎Fが昨年5月の仙台戦からホームの等々力で25試合連続得点。J1でホーム25試合以上連続得点は、06~07年の浦和の25試合連続以来10年ぶりで史上6位タイ。J1記録は延長戦のあった時代の00~04年の磐田で68試合連続。