横浜F・マリノスが延長の末に柏レイソルを2-1で退け、4大会ぶりの日本一に王手をかけた。0-1の後半24分にFW伊藤が決めて延長に持ち込み、同後半13分にFWウーゴ・ヴィエイラが決勝点。セレッソ大阪はヴィッセル神戸を3-1で下し、14大会ぶりの決勝進出。決勝は来年元日に埼玉スタジアムで行われる。両チームの決勝での顔合わせはともに前身の日産自動車、ヤンマーだった83年度大会以来34大会ぶりとなる。

 耐えて耐えて、少ないチャンスをものにして逃げ切る。横浜が今季を象徴する戦いで決勝に進んだ。120分間の激闘を終えたDF中沢は「3年間の集大成のような、やってきたことがそのまま出た試合だった」と汗をにじませた。元日を最後に3年間の指揮を終えるモンバエルツ監督のイズムの結集を感じていた。

 展開は苦しかった。前半11分に柏FWハモン・ロペスのロングシュートで先制された。しかし、中沢が「良い意味で開き直ることで、あの1失点を引きずらなかった」と言えば、MF天野も「後半に相手(の運動量)が落ちて、自分たちのペースで進められていた」と冷静だった。後半早々にMF扇原が負傷し、代わって入った伊藤が同24分に同点ゴール。徐々に主導権を握ると、延長後半5分から投入されたMF遠藤のアシストからウーゴ・ヴィエイラが決勝ゴールを挙げた。指揮官の采配も光った。

 モンバエルツ監督は「(伊藤投入で)2トップになったことでチャンスを作ることができた。(延長は)疲労が出て難しくなったが、後半でゲームを変えられると思った。素晴らしい流れから勝つことができた」と選手たちを称賛した。

 今季5位だったリーグ戦は34試合で36失点。堅守で耐え、1、2点差で逃げ切る形でV戦線に食らいついた。決勝点のウーゴ・ヴィエイラが放ったシュートはわずか2本。中沢は「ウーゴは90分のうちの1分で仕事をする男。信じて後ろのメンバーは耐えなければいけないし、それが今年のマリノス」とあらためてチームの力を強調した。

 4大会ぶりの日本一を懸けて決勝でC大阪と対戦する。今季はリーグ戦とルヴァン杯で3戦3敗。それでも、中沢に迷いはない。「一発勝負の決勝はいろんなことが起こる。苦手意識を持たずに自分たちのやってきたことを出し切りたい」。指揮官のラストゲームで美酒に酔いしれるつもりだ。【松尾幸之介】