全日本高校女子サッカーが今日30日から5日間、兵庫県で開催される。東北勢からは3校が出場。20大会連続20度目出場の常盤木学園(宮城・東北2位)は点取り屋の姉、FW沖野くれあ(3年)と2列目からの飛び出しを得意とする妹、FWるせり(1年)の強力姉妹コンビを擁し、30日の大阪学芸(関西4位)との1回戦に臨む。

 沖野姉妹が5大会ぶりの優勝に導く。最初で最後となるコンビでの全日本出場に燃えない理由がない。姉くれあは強い体を生かして得点を量産する絶対的エース。一方の妹るせりは2列目から積極的に飛び出すスーパーサブ。抜群の呼吸で見せる連係プレーが光る。

 くれあ たくさん点を取って、大会NO・1ストライカーになりたい。

 るせり 2人で出て、優勝するという目標がある。自信を持ってやりたい。

 お互いの存在が刺激になっていた。るせりが中2で日本女子選抜U-14(14歳以下)に招集された際は、くれあが焦った。「妹が合宿に選ばれて、負けられないと思った」。妹の活躍をバネに、くれあは常盤木で1年から先発の座を奪取。高校卒業後はマイナビ仙台に進むほど成長した。そんな姉の姿が、るせりにとっても励みとなった。「姉が常盤木でエースと呼ばれて、いつも比べられる。しっかり活躍して、周りをがっかりさせたくない」。姉妹だからこそ、成長できた。

 寮生活は同部屋で、私生活でも仲良しだ。お互いを「くれ」「るせ」と呼び合う。「ひらがなの名前は珍しいので、すぐ覚えてもらえる」と2人は笑う。性格は自己主張の激しい姉に対し、控えめな妹。対照的だが、発した言葉は一緒だった。「一緒に出られる最後の大会。北海道の両親にも試合に出ている姿を見てもらいたい。優勝して、恩返ししたい」。沖野姉妹の持てる力をすべて出し切り、優勝をつかみ取る。【高橋洋平】