8季ぶりに復帰した鹿島アントラーズで、元日本代表DF内田篤人(29)が始動した。9日、茨城県鹿嶋市内でチームが始動。そこに10年7月10日以来2740日ぶりに、鹿島のエンブレムを身に着けて加わった。7年半過ごしたドイツで最も学んだことは「タイトルを取ることの難しさ」と言い、王座奪回に向けて、練習から削ることも辞さず、厳しくいくことを宣言した。

 久しぶりに身にまとった「ディープレッド」のウエアが心地よかった。鹿島のチームカラー姿に、違和感は少しもなかった。「ずっと帰ってきたかったチーム。久しぶりにこのグラウンドで、アントラーズの一員として練習できるのはすごいうれしい」。内田は約1時間半、輪に加わってフィジカル練習をこなした。

 詰めかけた約100人のファンの前で、鹿島の伝統と世界を知る男のオーラは全開だった。最初こそランニング中にMF小笠原や安部らと話したが「パッと周りを見たら、自分1人」と苦笑いした。ただ「ドイツは練習が始まったら無駄話をしないから、その癖がついていた。(自分から)しゃべるつもりもなかったです」。黙々と汗を流した。

 若手は圧倒されていた。そんな存在ではないと否定しつつ「そんなにベタベタする必要もない。ある程度のコミュニケーションは大事だけど、ここは仲良しこよしのチームじゃない。タイトルを取るには練習中から厳しくやるつもり。がっつり削り合いをしたい。ドイツでは散々、削ってきましたし」と笑い飛ばした。

 鹿島は昨季、無冠に終わり「自分もすごい悔しかった」という。7年半のドイツ生活では「勝てない難しさをすごく知った。タイトルを取る難しさはかなり勉強してきたつもり」と言い切る。だから、自分に求められる役割を知っている。「今まで『鹿島』という名前で取れていた雰囲気があったかもしれないが、ガツンと言われた気がする。絶対に取れるとは言えないし勝ちも約束できないけど、優勝できるように全力を尽くしたい」。鹿島愛に満ちた内田らしく、始まった。【今村健人】