サンフレッチェ広島はまるで優勝したかのように喜び、抱き合った。選手も、城福監督も。それもそのはずか。鹿島アントラーズを倒すのは13年のアウェー以来5年ぶり。開幕3連勝を飾ったのは94年以来24年ぶりだった。ただ、当時は延長勝ちを含み、今回とは中身が違う。「鹿島に、このスタジアムで勝つのは大変なこと。多少の運も呼び寄せないと」。指揮官が言うその「運」が、舞い込んだ。

 まず後半6分。MF川辺の右クロスは鹿島MF三竿健の足元に行った。だが、そこからの不用意な縦パスが今度はペナルティーエリア内のDF和田の足元へ。奪いに来た相手を冷静にかわして先制点を決めた。

 次は後半20分。与えたPKで、GK林が神懸かった。右に飛んでFW金崎のシュートを阻止。はね返りのMF土居のシュートは至近距離で胸で止めた。「ギリギリまで動かず、うまく反応できた」と胸を張った。

 開始早々から1対1を止めていた林。城福監督は「相手のヘディングが正面に飛んだり、彼のところにボールが吸い寄せられるようだった」と評した上で「運を呼び寄せたのは体を寄せたりカバーしたり、最後で足を出すという選手の気持ち」と全員をたたえた。浦和、鹿島をともにアウェーで撃破。昨季、ギリギリの勝ち点1差で残留した広島が、生まれ変わり始めた。【今村健人】

 ▼広島の開幕3連勝 J1では94年の6連勝以来、24年ぶり2度目。94年は第2節で延長Vゴール勝ちがあり、今季のように90分試合でシーズン開幕3連勝はクラブ史上初めて。94年は2ステージ制だったが、そのままの勢いで第1ステージ優勝を決めている。