ベガルタ仙台がMF茂木駿佑(21)のハットトリックの活躍で首位横浜F・マリノスを4-2で下し、勝ち点を8に伸ばしてグループステージ突破に王手をかけた。前半35分、4年目のMF茂木がJ初ゴールを含む2ゴールを奪うと、後半にはFKからロングシュートをたたき込み、粘る相手を突き放した。仙台は2勝1敗2分けとし首位に立ち、16日のアウェー東京戦でプレーオフステージ進出に挑む。

 ユース生え抜きの悩める男が、聖地で目覚めた。前半35分、左サイドの崩しから流れてきたボールを見逃さなかった。MF梁勇基(36)のアシストから右ファーサイドでフリーでボールを受けると右足を振り抜く。「こぼれてくると思っていた。OKと声を出したら梁さんが譲ってくれたので感謝したい」とゴールを確認すると、両手を広げ歓喜を爆発させた。

 同43分、またもや右サイドでフリーとなると「速いボールを入れれば何かが起こると思った」と迷わず右足を振り抜いた。強烈な一撃は、ボールが相手GKに当たりゴールに吸い込まれた。後半17分には敵陣40メートル付近から放ったFKが相手DFに当たり、角度が変わってゴールへ吸い込まれると、自然に両手でガッツポーズをつくった。

 鼻っ柱の強さが売りのサイドアタッカーだが、守備に課題があって悩み続けてきた。4月18日のルヴァン杯新潟戦では、ユースの後輩3選手が先発出場を果たすも3失点を喫して敗退。渡辺晋監督(44)は「何がよくなかったのかは本人が一番分かっているので、しっかりと感じ取ってくれていれば変化は起こると思っていた。課題はあるが足を振れば何かが起こることを示してくれた」と振り返った。

 一夜でヒーローになった21歳は「自分の色を出せないところがあって悩んでいたが、これで終わったらそこまでの選手。これを続けていきたい」と前を向く。一皮むけた若駒が、チームの勢いを加速させる。【下田雄一】