大分トリニータ片野坂知宏監督(47)は、勝って2位に浮上したジェフユナイテッド千葉戦後の会見の冒頭に、ガラガラ声で「すみません。また、こういう声になってしまいまして。聞き取りにくいかも知れないですけど、申し訳ありません」と謝罪した。

その上で「この声になったのも、千葉さんの応援と、我々の後押しの応援と(両方が大きくて)…大きい声を出さないと通らないので、少し張り上げ過ぎてしまいまして、こういうことになりました」と、スタジアムの声援が大きいため、選手に大声で指示を送っているうちに、声がガラガラになったと説明した。

片野坂監督は0-0で引き分けた8月18日の東京ヴェルディ戦後の会見で、声がかれたまま会見をしたことが話題となり、サポーターが「せき・こえ・のどに浅田飴」のキャッチフレーズで知られる浅田飴の公式ツイッターアカウントに「監督ののどを守ってください」とツイートした。そのことをきっかけに、浅田飴が同25日の徳島ヴォルティス戦に向けて浅田飴を送ったところ、片野坂監督が同戦で浅田飴を手に指揮を執ったことから、浅田飴が今季から大分のスポンサーになるまでに話が発展したことが話題となった。

片野坂監督は、記者から「今日は試合中に浅田飴、なめなかったのですか?」と聞かれると「浅田飴は、ちゃんと持ってなめていました。今日はベンチに置いて、なめて、置いて、としていて…スタジアムの反響がすごいんで、ちょっと声が通らなくて、出し過ぎてしまって」と言い、苦笑いした。

同じ記者から「浅田飴効果がなかったのは、初めて?」と聞かれると「初めてです!! 初めてです!! やっぱり、集中を切らさず選手と一緒に戦わなければいけないし…でも(千葉の)声援がすごかった。我々(大分サポーター)の声援も負けていなかったので、すごいありがたいんですね、本当に」と大分サポーターに感謝した。

この日は開始27秒にFW三平和司(30)が、ロングボールのこぼれ球を千葉GK大野哲煥(24)が左足で処理し、ペナルティーエリア内でキャッチしようとしたところに詰め、右足で押し込み先制。同16分には、自陣からのクリアに反応したFW藤本憲明(29)が抜け出し、GK大野をかわしてゴール右に決めた。さらに37分には、FW国分伸太郎のパスを受けた藤本が右に展開し、折り返したクロスを、三平がスライディングシュートで押し込み、前半で試合を決定的なものにした。

片野坂監督は、試合について「今日は長いボールが多くなった。千葉が前から来る部分を想定した中での狙いとして、選手に判断として(ロングボールを蹴るという選択肢を)持たせた。千葉がアグレッシブで迫力のある攻守をしてくる。プレッシャーを感じる中、逃げ道として、そういう判断を与え、粘り強い守備から攻撃をやるようにした」と、前線からプレスをかける千葉対策としてロングボールを増やしたと説明。その上で「そういう中でも、前半の3点目は、いいつなぎから、いい得点になった相手が前から来るところをはがし攻撃できたのは、選手が相手の変化を見て、よく判断してやってくれた」と、千葉対策をした中でも、しっかりつなぐ大分らしい得点をしたことを評価した。

また前半43分、FW藤本が左サイド深くでシュートしたボールを、ペナルティーエリア外でハンドで防いだ千葉GK大野にイエローカードの判定が下ったことに関し、記者から質問が出た。片野坂監督は「審判は『センタリング、得点の前のクロスという判断で、決定機の阻止ではないんじゃないかという判断をしています』と言っていました」と審判の見解を明かした。その上で「ただ、僕が見たのは、クロスというよりゴール方向にいっていたので、止めなければゴール方向に流れていたし、こぼれ球とかセカンドボールも押し込める状況になっていた。そこを完全に止めにいっているんで、あれはイエローじゃなく、レッドじゃないのかなと話しました。審判の判定は受け入れるしかないので」と自らの見解を説明した。

28日にはホームで勝ち点1差の首位松本山雅FCと直接対決する。片野坂監督は「次節、久しぶりにホームで勝負が出来る。上位対決の松本山雅FCさんが勝負になる。いい戦いをして積み上げたい」と闘志を燃やした。【村上幸将】