初出場の瀬戸内(広島)が前半37分にMF吉田が挙げた1点を守り抜き4強進出を決めた。

「体の小ささがコンプレックス」という男が、ヘディングで決めた。「得意ではないけどボールがきて、最後は触るだけでした」と殊勲の場面を振り返る。J1サンフレッチェ広島の下部組織育ちも、ユースに上がれず高校サッカーへ。「身体能力がなくて練習についていけなくて」と言うが、広島県予選の準決勝、決勝に続くゴールと、大舞台での勝負強さを発揮した。

県勢では広島皆実が優勝した08年度以来の4強は、無欲の快進撃。昨夏に広島が豪雨で被災し、全員でボランティア活動。サッカーができる喜びを再認識して臨んだ。同校の教頭でもある安藤監督は毎朝宿舎近くの泉岳寺に参り、勝ち守りを授かっている。「初出場で予測がつかない中、1試合ごとに成長している。自信を持ってボールを動かしている」。いったん広島に戻って、12日の準決勝に向かう。

◆初出場校の4強進出 首都圏開催となった76年度大会以降、今回の瀬戸内で8校目。09年度の山梨学院大付(現山梨学院)以来9大会ぶり。過去7校のうち5校が決勝に進出。優勝は86年度の東海大一(現東海大静岡翔洋)と09年度の山梨学院大付の2校。