北海道コンサドーレ札幌が、神戸を2-1で今季初めて逆転で下し、クラブJ1初の4連勝を挙げた。

FW鈴木武蔵(25)が1-1の後半30分、ヘディングで決勝ゴールを決めた。リーグ戦7試合ぶりの今季4点目で、令和初戦の白星へけん引。今季最多の観衆3万4591人の前で5位浮上をもたらし、ルヴァン杯も含め公式戦6連勝に導いた。

鈴木が令和初戦での白星を決定づけた。リーグ戦では3月9日清水戦以来、56日ぶりの1発にテンションも上がった。新元号発表時の菅官房長官をまねた“令和ポーズ”を披露。クラブにとってJ1で初めての4連勝だ。「最高です」と喜びをかみしめ「なかなかリーグ戦で取れていなくて、どうしても取りたいって気持ちもあった」と笑顔を見せた。

今季初の逆転勝利に導いた。後半17分にPKで先制を許す。今季先制された4試合は全敗。嫌な予感も、同23分のDF進藤の同点オーバーヘッド弾で振りだしに戻すと出番がやって来た。同30分、MF早坂からの右クロスに相手と競りながら体ごと突っ込んだ。頭を合わせてゴールに押し込む。泥臭く2点目を奪った。

この日のゴールには、苦手を克服した成長がつまっていた。恩人との出会いは新潟時代の17年4月だった。慢性的にケガに悩まされ、助けを求める思いでトレーナー小倉義人氏(42)から指導を受け始めた。メモ帳持参の初対面では人間の基本動作から改善する「ハビットコントロール」の理論に熱心に耳を傾けた。

「上半身のパワーが弱く、下半身しか使っていないからケガをする」と言われ、立ち方から変えた。長身を生かせず、相手にすぐに崩され、空中戦に弱かったが、体づくりが進むと競り負けなくなった。昨季長崎で初めてヘディングシュートを決めた。3月に初招集された日本代表でも、初シュートは頭で狙った。

ケガをしにくくなると、結果も出た。昨季は自己最多11得点。今季は6連勝中の直近の公式戦全試合に先発し、ルヴァン杯では5得点。リーグ最多得点タイのFWアンデルソン・ロペスが左膝負傷で離脱し、より得点が求められる。「彼がいないのはすごく痛いけど、早く復帰して欲しい」。この日はロペスが清水戦の得点後に大ジャンプをしたパフォーマンスのフリをし、エールを送った。5位浮上に導いたエースは、ゴールに向かい続ける。【保坂果那】