清水エスパルスのブラジル人助っ人が、約四半世紀ぶりに歴史を塗り替えた。

FWドウグラスは1-1で迎えた後半23分、左サイドからのロングスローに反応。ゴール前に飛び込んだエースにはイメージができていた。

「神戸の守備はゾーン。後ろから走って合わせれば入ると思った」。相手2人に挟まれながらも“頭2つ”抜けていた打点の高いヘディングでゴール右隅へ。95年にFWマルコがマークした記録を24年ぶりに更新し、クラブ新の7戦連発弾で勝利を呼び込んだ。

「もちろんゴールはうれしい」と素直に喜んだ。ただ、ゴールだけではない。前半26分には自陣からドリブルで右サイドを突破。爆発的なスピードでぶっちぎると、猛追してきた相手のタックルもかわした。体勢を崩しながらも、相手の股下を抜く絶妙なパスで北川の先制点を演出。独り舞台にも「勝つことが1番」と控えめだった。

「チームが勝てればいい」。自身の記録は二の次だが、ゴールは貪欲に狙い続けている。「遊びのサッカーでもずっと前をやっていた」と幼少期からFW一筋だった。あこがれの選手は元ブラジル代表FWロナウド。日韓W杯で母国を優勝に導いた英雄のプレーを手本にしていたという。

貴重な決勝点を挙げ、98年に横浜FWサリナスが記録した8試合連続ゴールのJ1記録に王手をかけた。次節はアウェーG大阪戦。昨夏の加入後、初ゴールを挙げた思い出の地だ。「勝つために練習から努力したい」。クラブ史に名を刻んだ最強の助っ人が、おごらずに偉業に挑む。【神谷亮磨】