第98回全国高校サッカー選手権に出場する近畿勢の話題や注目選手を紹介します。3回目は滋賀代表・草津東(3大会連続11度目)の主将FW渡辺颯太、MF川崎寛太、DF南堀悠人(いずれも3年)の「リベンジ3銃士」です。

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草津東のFW渡辺、MF川崎、DF南堀の3選手は3大会連続で全国の舞台に立つ。1度出場するだけでも難しいのに、1年から3大会連続出場は実力も運も必要だ。一方で3人は大きな屈辱も味わってきた。

1年時は0-5、2年時は0-6。サッカーのスコアとしては屈辱的な数字が並ぶ。いずれも初戦の2回戦で青森山田に大敗。前回はその青森山田が優勝したとはいえ、言い訳にはできなかった。

「1年の時は何の経験もなく、ただ圧倒されただけ。世話になった3年生のために役に立ちたかったのに、何もできなくて、先輩に慰められるほど僕が一番泣いてしまった。2年では経験を積んできたはずなのに、また負けて情けない思いだった。今回は僕にとっては最後の大会。まずは今までできなかった初戦を突破したい」。1年からエースとして全国選手権でフル出場を続ける渡辺は、今回こそ勝利と初ゴールを狙う。

左2列目の川崎は1年時はベンチ要員に終わり、2年時は後半から途中出場。左サイドバックの南堀も1年は出番がなかったが、2年ではフル出場。左サイドで3人が連係を取る場面も多く、悔しさも喜びも共有してきた。

「悔しさを通り過ぎる負けだった。シンプルに力不足。その負けがきっかけで課題が見えてきて、この1年でフィジカル面を鍛え直した。トレーニングルームでの成果で体重は3キロ増えた。当たり負けしなくなった」と川崎は胸を張る。南堀は「昨年、自分の左サイドを抜かれた悔しさはある。滋賀県の代表として今度こそ頑張りたい」。

今回、大会連覇を狙う青森山田とは別のゾーンに入った。東久留米総合(東京A)との1回戦に臨む草津東は、因縁の相手とは決勝までは対戦することはない。

就任2年目の牛場哲郎監督(41)も2大会前はコーチの立場、前回は新人監督として苦い思いを味わった。「今回は全国ベスト8を目指すと選手には言ってきた。でも本当は決勝で青森山田と対戦し、そこで勝ちたいという思いがある。僕としては選手の精神的な部分をうまく試合に誘導してあげたい」と話す。

川崎は「先輩らが準優勝した時は青森山田に勝っている。積み重ねてきたものを出せれば」と最高のシナリオを描く。2000年(平12)度の第79回大会、草津東は過去最高の準優勝を飾っており、準決勝では2-0で青森山田を破った。今回の草津東は両サイドのピッチの幅を最大限に生かした展開力が魅力。完成度が上がり、手応えはある。

3選手は卒業後、渡辺は関学大へ、川崎は大体大へと進む。南堀は競技にひと区切りをつけ、理学療法士やトレーナーを目指して大阪の藍野大へと進む。それぞれの道を進むからこそ、今大会は集大成の舞台になる。南堀は「サッカーを辞める寂しさもあるが、これが最後だと思ったら、逆に集中できると思う」。リベンジに燃える3銃士が、大逆襲の冬に挑む。

◆渡辺颯太(わたなべ・そうた)2002年(平14)3月1日、滋賀県生まれ。甲南中出身。好きな選手はFW大迫勇也。179センチ、67キロ。

◆川崎寛太(かわさき・かんた)2001年(平13)8月1日、滋賀県生まれ。セゾンFC出身。好きな選手はフランス代表FWエムバペ。174センチ、62キロ。

◆南堀悠人(みなみぼり・ゆうと)2001年(平13)4月16日、滋賀県生まれ。FC SETA出身。175センチ、63キロ。