サンフレッチェ広島は10日、広島・吉田町で必勝祈願と新シーズンの練習をスタートさせる。

今季大ブレークの予感はプロ2年目のセンターバック、DF荒木隼人(23)だろう。昨季はJ1で24試合2得点、最後は19試合連続でフルタイム出場を果たし、11月にはキリンチャレンジ杯ベネズエラ戦(パナスタ)の日本代表に初選出された。プロ1年目を終え、初めて迎えた今オフは、米国へ5泊7日の“心”の武者修行に1人で出かけた。

現地では友人と合流したものの、1人の時間も多かった。ロサンゼルスには2泊し、12月18日にはダウンタウンにあるステイプルズ・センターでNBAの公式戦を観戦。クリッパーズが120-99でサンズを下した。

「バスケットボールは興味あったし、NBAは(米国では)最高のスポーツ。試合を見ても誰も名前は知らなかったけど、学ぶことは多かった。身長2メートルの大きな選手が素早く動く。(185センチの)自分ももっと動けるはずだし、進化しないとだめだと感じました」

米国を選んだのは、将来のために英語も学びたかったから。「自分が英語で話しかけた場合は(会話の内容が)理解できるが、相手に突然、話しかけられた時は、何も分からなくて。だから適当にOK、OKとだけ答えていた」と苦笑いする。

帰国後の年末年始は、実家のある大阪・門真市に帰省。母校の関大(大阪・吹田市)で後輩で今季、ガンバ大阪に入団したDF黒川圭介(22)らと自主トレに励んだ。仲間から日本代表入りを驚かれたというが、このサクセスストーリーは自分が最も驚いたという。

「昨年はたくさん試合に出してもらったのに、タイトルが取れなかった。今年は全試合フルタイム出場が目標。もう1度、代表に選ばれたいし、今度こそ代表の試合に出たい。スポーツ選手としては数字でも貢献したい」

G大阪門真ジュニア、G大阪門真ジュニアユース、広島ユース、関大を経て広島でプロ入り。Jクラブと大学の両方の環境で成長し、日本代表クラスになった。1対1と空中戦の強さが武器。クラブからは背番号23から主力番号への変更を打診されたが、初心を忘れないために固辞した。広島の荒木から目が離せない。【横田和幸】