ヴィッセル神戸が収穫の多いドローを演じた。首位独走中の川崎フロンターレとホームで対戦し、2-2の引き分け。最後は追いつかれたが、互角以上の内容で天皇杯王者の底力を示した。MFイニエスタを2戦連続で故障で欠くも、代役のMF安井やベテランDF西が躍動。今季初の連勝を逃したが、ホームの連敗は3で止めた。この日は、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の関係で変則日程となった節の異なる3試合が行われた。

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球際で競り勝った神戸が放ったシュートは14本。川崎Fの2倍を数え、首位と9位の対決とは思えない内容だった。追いつかれたドローだが、フィンク監督は胸を張った。

「本当にいいパフォーマンスができた。我々はボール保持、シュート数、全体的にも上回っていた。2-1の状況から3点目を決めるべきだった。あとは決定力を上げないといけない」

右足首負傷で主将のイニエスタが2試合連続で欠場した。ユースから昇格4年目の21歳、MF安井が2戦連続先発を果たした。

「安井はこのクラブが育て、彼の上達には満足。イニエスタは1つのパスで相手を切り裂くが、安井は体力でカバーしている。違うスタイルだからこそ、チームが合わせることが大事だ」とフィンク監督。これまで「得点、アシストに絡むことが大切」と話していた安井は、後半途中で休養のためにベンチに退いた。次節29日のホーム横浜F・マリノス戦も先発が濃厚だ。

FWドウグラスが右膝を痛めて途中交代したのは不安材料だが、新人19歳のFW小田も惜しいシュートを放って初得点のにおいを漂わせた。前節浦和レッズ戦は10人の先発変更で勝ち、この日は主力組に近い布陣で川崎Fと渡り合った。

1アシストのDFダンクレーは「昨年終盤のいいサッカーをしていた時に近づいた」。川崎Fとは9月2日のルヴァン杯準々決勝、さらに同9日のJ1リーグ戦という3週連続の対決が待つが、イニエスタ不在の神戸が新たな進化を遂げている。【横田和幸】