アルビレックス新潟はホームでFC町田ゼルビアを4-0で粉砕。今季最多得点を奪い、連勝を飾った。前半ロスタイム、カウンターアタックからMF中島元彦(21)の移籍後初ゴールで先制すると、後半には途中出場のFW鄭大世(36)が川崎フロンターレ時代の07年以来自身2度目、J2では最年長記録となるハットトリックを達成した。新潟は9勝10分け5敗で、勝ち点を37に伸ばし、6位に順位を上げた。

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後半19分から途中出場の鄭大世がド派手なプレーでこの試合3度目のネットを揺らした。

自身の連続得点で3-0とした後半ロスタイム。MF福田晃斗(28)からの浮き球をペナルティーエリア左で受けると右足ダイレクトで弾丸のジャンピングボレー。韓国リーグでプレーした13年以来7年ぶり、Jリーグでは川崎F(J1)時代の07年以来自身2度目ハットトリックを、今季ホーム最多8369人のサポーターの前で決めてみせた。「これでやっとチームの一員になれたかな」。らしさ全開、野性味あふれるゴールを喜んだ。

鄭大世は後半19分からピッチに入ると同32分、中島の左サイドからのパスに走り込み、まず1得点目。同44分には自ら得たPKを冷静に沈めていた。「監督から『前線でパワーを使ってくれ』と言われた。ゴールで応えることができてうれしい」。新潟デビューとなった9月2日ホームV・ファーレン長崎戦以降、得点から離れていただけに焦りはあった。「自分の序列が下がってきていると思い、『この試合で結果を残す』という強い気持ちで臨んだ」と心境を明かした。

「町田は選手が固定され、疲労がたまっていると予想していた。後半勝負と踏んでいただけにプラン通りの試合が出来た」とアルベルト監督(52)。新潟は序盤からパスをつなぎ、相手の体力を消耗させた。後半からはスピードと突破力のあるMF本間至恩(20)とMF大本祐槻(26)を両サイドに投入し、試合を支配。サポーターの拍手とともにチームは勢いを持ってゴールへ迫った。

J1昇格への助っ人FWとして8月にチームに加入した鄭大世は「勝ってかぶとの緒を締める。浮かれることなく、全員でしっかり足元を固めて、次の試合に臨む」と顔を引き締める。次節10日のアウェー京都サンガF.C.戦へ早くも気持ちを切り替えていた。【小林忠】

○…MF中島が新潟加入から17試合目で初得点を奪った。「長い距離を走り、しっかりコースを狙って打てた。ここまでゴールが奪えず、焦りや不安があった分、喜びが爆発した」。後半32分には鋭いパスで鄭大世の1得点目のゴールをお膳立て。「試合前にデブライネ(ベルギー代表)の動画を見てイメージをわかせていた」と話した。

<鄭大世の記録メモ>

◆13年ぶり 新潟FW鄭大世(36)が4日の町田戦(デンカS)で3得点。Jリーグ戦でのハットトリックはJ1だった川崎F時代の07年10月28日FC東京戦以来、自身13年ぶり2度目。

◆J2最年長 J2で今季3度目、通算159度目のハットトリックとなったが、36歳7カ月2日での達成は京都FWピーター・ウタカが今年8月8日の山形戦でマークした36歳5カ月27日を更新するJ2最年長記録となった。J1の最年長記録は93年の鹿島アントラーズMFジーコで40歳2カ月13日。

◆途中出場 後半19分から途中出場で3ゴール。J2でベンチスタート選手のハットトリックは、レノファ山口FC・FW中山仁斗が16年7月10日のギラヴァンツ北九州戦でマークして以来4年ぶり2人目。

◆11人目 新潟のハットトリックは19年10月5日の鹿児島ユナイテッドFC戦でのFWレオナルド以来で、J1、J2通算11人目15度目(J2通算7人目10度目)。