川崎フロンターレの鬼木達監督(46)が2日、オンライン取材に応じ、今季限りでの引退を発表したMF中村憲剛(40)についての思いを語った。

前日の会見で中村は、5年前から40歳での引退を決めていたと話した。鬼木監督も日頃のコミュニケーションの中で、引退が近いと感じたこともあったという。それでも「正直、びっくりしたというのが一番」と振り返り、引退報告を受けた翌日からは「けっこう引き留めた」とも明かした。

中村のブログによると、鬼木監督が中村から引退の意向を聞いたのは10月23日。その5日前、鬼木監督は今季唯一敗れた名古屋グランパスとのリベンジマッチで中村を先発起用し、「プレッシャーがある中で使って、それに応えてくれた」と感じていたという。

中村の実力を再確認した一方で、直後に引退の意志を告げられた。1年前の大ケガから懸命にリハビリをする姿を見てきた指揮官は、「来年に向かっていたんじゃなくて、自分がやりきるための決意だったのかな」と、復活劇の裏にあった思いをくみ取ったようだ。

「何歳になっても人を伸ばしたい思いがある」という鬼木監督。「(中村は)『決意があったから頑張れた』とずっと言っていた。決意があったから逆に、40歳になろうとしている選手をまだ成長させたい、という思いをかき立てられたのかもしれない」と話した。

鬼木監督は引退を引き留めたとはいえ、「彼の決意が固く、納得するしかなかったと思う」と、事実を徐々に受け止めつつある様子。引退が発表されたことを受けて、選手には“憲剛のため”でなく「“憲剛と一緒に”タイトルを取ろう」と伝えたという。優勝へ向けて首位を独走する川崎Fに、またひとつタイトルを取ることの重みが加わった。