いわきFCがヴィアティン三重を2-1で破り、JFL優勝、J3昇格へ開幕白星発進した。前半1分、FW古川大悟(21)が昨季まで所属した古巣に先制の恩返し弾。一時同点に追いつかれたが、同ロスタイム、MF金大生(キン・デセン、26)が華麗に勝ち越しゴールを突き刺した。11日に2011年の東日本大震災、福島第1原発事故から10年を迎えた。甚大な被害を受けたいわき市、双葉町、大熊町、富岡町、浪江町などの復興シンボルとして、これからも地域とともに歩む。

いわきFCが1831人の前で白星スタートを切った。前半1分、こぼれ球に反応した古川が得意の左足を振り抜き、あいさつ代わりの一撃を古巣相手にぶち込んだ。「特別な思いはあったが、移籍してきたからにはいわきのために全身全霊で戦うと誓ったので、ゴールを決められて良かった」。電光石火の先制劇は「開始早々であまり覚えていない」と無我夢中だった。同点の同ロスタイムには金が左45度から右足で美しい弧を描き、決勝弾とした。

チームは震災で被害を受けたいわき市の復興、成長の象徴になるべく15年に発足。現在では同市を含む9市町村がホームタウンになっている。16年の福島県社会人リーグ2部参入から4季連続で昇格を果たしてきた。しかし、JFL1年目の昨季は7位。最終節までJ3昇格の可能性を残していたが、大一番で敗れあと1歩届かなかった。今季は圧倒してその悔しさを晴らす。「勝ち点70、70得点、30失点」と大きな目標を掲げ、優勝して次のステージに進むつもりだ。

試合前のミーティングで田村雄三監督(38)は「自分たちのクラブの成り立ちも含めて震災から10年、JFL2年目の開幕戦を3月14日、3・11の3日後にホームでできることは必然だ。偶然ではない」と選手たちを鼓舞。その上で「相手よりファイティングスピリットを持って球際に行く、倒れない、諦めない、走る…。そういう躍動する姿が結果につながる」と送り出し、勝ち点3に結びつけた。

昨季はコロナ禍で1回戦総当たりの15試合制だったが、今季は32試合の長丁場。J3昇格へはリーグ戦4位以内かつ将来的なJリーグ加入を目指す「百年構想クラブ」の中で上位2クラブになる必要がある。震災から10年の特別な1年。勝利を積み重ね、被災地へ歓喜をもたらす。【山田愛斗】