ジュビロ磐田は2-1で東京ヴェルディ1969を下し、暫定首位に浮上した。

元日本代表MF遠藤保仁(41)が、前半22分に直接FKで同点弾。逆転勝ちを呼び込む芸術的なFKだった。

決めた本人も「自信持って蹴れた」と振り返った1発は全てが計算され尽くされていた。位置はゴール中央、距離は約20メートル。遠藤は「近すぎず、遠すぎず、一番狙いやすい距離だった」。相手の壁は7人。「まずは壁を越えて枠に入れること考えた」と、短い助走から右足をこすり上げるように振り上げた。「風も吹いていたので流されないように意識した」。ボールに縦回転を加えた弾道は鋭く曲がりながら落ちて、ゴール右隅に吸い込まれた。

GKの手も届かない完璧なコースを射抜いた。遠藤の直接FKでのゴールはJ1、J2通算20点目。後半7分にはCKからMF山田大記(32)の決勝点をお膳立てし、1得点1アシストの活躍で勝利に導いた。

鈴木政一監督(66)も「遠藤さまさまだった」と手放しでたたえた。拮抗(きっこう)した試合展開ではセットプレーが勝敗を左右することも少なくない。今後も相手から研究されて苦戦する試合はあるはずだ。その中で「キックの名手」がいることは何よりも心強い。「いい形で勝利を重ねていければ、昇格のチャンスは出てくると思う」と遠藤。プレーでチームを引っ張るベテランの言葉は頼もしかった。【神谷亮磨】

▽得点経過 前半14分 森田晃樹(東京V)前半22分 遠藤保仁(磐田)後半7分 山田大記(磐田)