「お祭り男」はやはり、持っていた。ヴィッセル神戸DF槙野智章(34)が、古巣相手に劇的な同点ゴールを決めた。

「慣れ親しんだこのスタジアム、よく知ってる仲間と、よく知ってるサポーターの前で、元気な姿を見せることはできました」。

守りに徹する浦和を崩したのは、後半途中から今季初出場したFWイニエスタとのコンビネーション。左からのピンポイントのクロスに、豪快なヘディングで合わせた。「非常にいいボールが来たので、後は決めるだけだった」。何度も応援してくれた赤いサポーターの前で、喜びを爆発させた。

昨年、退団が決まった際には涙を流した。離れても、長く過ごした浦和への愛着は強い。スタジアムに入るまで、バスの窓からずっと街並みを眺めていた。「やっぱりすごい好きな街だなと。今か今かとスケジュールを逆算しながら、この日を待ち遠しく待ってました。とにかく楽しみな一戦だった」。

試合後には、浦和ロドリゲス監督から「やっぱりお前はストライカーだ」とたたえられた。「浦和レッズの幸運も祈ってますし、僕らもレッズに負けないぐらいの力強さを見せて、優勝に向けて頑張りたい」。大好きな古巣と頂点を競い合えれば最高だ。【磯綾乃】