延期されていたFC東京-名古屋グランパス戦が行われ、0-0で引き分けた。東京は、昨季終盤まで監督だった長谷川健太前監督(56)が今季から名古屋の監督となり、対峙(たいじ)した。チャンスは作ったものの、3戦連続の無得点。試行錯誤を重ねつつも、上位進出を諦めない。

J1スコア速報はコチラ>>

立て続けに2本のシュートがポストをたたいた。敵将となった長谷川監督が「東京のダブルエンジン」と信頼していたFW永井、そしてディエゴ・オリヴェイラ。後半8分に2人それぞれ狙ったシュートは右ポストとクロスバーだった。ボールが名古屋ベンチ前でサイドラインを割った際には、永井と長谷川監督が笑顔で握手。敬意と勝ち点への飢えがともににじんだ。

長谷川体制の堅守速攻から、アルベル監督はボールを支配するサッカーへの転換を掲げる。「チームの完成度は25%。今季が終わるまでに50%になったらそれは成功」と語る。開幕前のキャンプ終了時で20%としており、指揮官から見れば進歩は5%ということだ。MF安部も「まだ課題はたくさんある」と話すなど、チーム全体に貪欲な雰囲気がある。

「チーム作りと料理は似ている」。アルベル監督はそう語る。家族と過ごす自宅ではよく台所に立ち「日本人男性のみなさんも料理をしてください。きっと喜ばれます」とアドバイスする。おいしい料理ができあがるコツは「火の調整や塩の配分、そして時間」だという。それぞれの役割と適切な相性を見つけ、時間をかけて熟成させる。左SBとしてスタイルを確立していた日本代表DF長友を迷わず右SBにコンバートするなど、大胆に改革を進めている最中だ。

終盤には大黒柱のDF森重主将が脇腹を痛めた。一時はひざまずいてプレーが止まるなど状態が心配されるが、GKスウォビィクの好セーブもあり失点は許さなかった。目の前の試合に勝ちながら、残る75%を積み上げるのが理想。まずは無得点が続く歯がゆい時間を乗り越えることが、常勝軍団への前進になる。【岡崎悠利】

J1順位表はコチラ>>