今季から1部に昇格した東京国際大が、早大に快勝し、開幕から5連勝と首位をキープ。関東大学サッカーの旋風を巻き起こしている。

開幕戦で明治を4-0で下してから、昨年のインカレ王者の駒大、リーグ王者の流通経大を立て続けに撃破。この日の早大戦も、PK失敗で先制のチャンスを逃したが、前半終了間際にコーナーキックから先制。終始、前からのアグレッシブなプレスと鋭いショートカウンターを繰り広げ、早大を寄せつけなかった。

背番号「10」を背負うMF落合陸(4年=柏ユース)は来季から柏レイソルの加入が内定。ユースの時は、夢だったトップ昇格がかなわなかった。当時はプロの道をあきらめきれず、他クラブに練習参加もしたが内定は手に出来ず。同時に大学への道も絶たれてしまった。高校卒業後、1年間、社会人クラブのVONDS市原でプレーし、“浪人”する形で1年遅れて東京国際大へ入学した。

前田秀樹監督(67)が指揮する東京国際大は、激しい球際を含む「戦う姿勢」が第一だ。柏ユース出身で、技術は指揮官も認めるところ。それだけに、指揮官は落合に、入学当初から「守備で戦うこと」を求め続けてきた。

落合は振り返る。「入学当初から、守備だけやれ、と。常に意識してやり続けることで、2、3年で守備が体に染みついてきて、今は守備は楽しいことに気がついた。自分でボールを奪うことが出来れば、ボールを触る回数も増えるし、もっと攻撃が出来ると考えるようになってから、積極的に守備が出来るようになってきた」。

柏に練習参加した際も、アグレッシブな守備面も評価され、社会人、大学を経てプロの道をつかんだ。「入学当初は、レイソルで学んだことと、東京国際大で教わった守備面を組み合わせる作業が苦労した。でも、3年生の途中から良くなって確立しつつある。これをプロの舞台で発揮したい」と意気込む。

チームも開幕から5連勝で首位を走る。落合は「2部で結果が出たのも、前からのプレス。そこを続けて来てみんなの共通意識になっている。今は、去年やってきたことの質と量を増やしているだけです」。「戦うこと」を研ぎ澄まし、勝つことで自信を得た東京国際大が、今季の大学サッカーの台風の目になりそうだ。【岩田千代巳】