浦和レッズは横浜F・マリノスに完敗した。キックオフ前、水頭症を患い、32歳の若さで死去したJ3テゲバジャーロ宮崎のFW工藤壮人さんへ黙とうがささげられた。

浦和の日本代表DF酒井宏樹(32)は、工藤さんと柏のアカデミー時代から親交が深く、切磋琢磨(せっさたくま)してきた戦友。黙とうでは目頭を押さえ、込み上げてくるものを、おさえきれなかった。

酒井は「黙とうは何回もやっていますが、これだけ近い人のことを思って黙とうするのは初めてで…。難しいですね。気合は入れていたんですけど。なかなか気合と結果はリンクしない」と、天国の工藤さんへ、勝利を報告できなかったことを悔やんだ。

守備時には3バックで、横浜を抑えようとしたが、4失点も喫してしまった。酒井は「今日は勝たないといけなかった。単純に僕らより、マリノスの方がチームとしてのデキが良かった。悔しいけど認めざるを得ない。これは受け入れないと何も変わらない。劣っているところをしっかり認めないといけない」と反省を口にした。

同期のあまりにも早すぎる死。受け入れるのにも時間がかかる。それでも酒井は「もう過去のこと。自分の中ではしっかり前に進んでいる。いいプレーをしていい結果を届けることが自分の使命だと思う」と必死で前を向く。

工藤さんとの思い出については「ふざけ合っていた部分がかなりあったので。あまり真剣な話をしない。サッカーは結果を気にしつつ、あまりサッカーのことを話すことはなかった」とし「工藤はリーダーだったので。常に輪の中心にいた。お互いが刺激し合っていた」と振り返った。

酒井は累積警告で最終節は出場停止。1-4での横浜戦の敗戦が、今季のリーグ最終戦になってしまった。

警告を受けた場面については「そこで止めないディフェンダーはいない。ピンチですし、あのエリアをえぐられたら、危ない。ペナルティーエリアの外で止めるという判断は、何度あってもやっている」と後悔はない。

11月1日にはワールドカップ(W杯)カタール大会の日本代表メンバー発表がある。酒井は「選ばれるのがゴールではないですし。選ばれている想定でどんなプレーができるか、どんなことをチームにもたらすことができるか、を考えています。選ばれなければ、次、自分が求められる試合を全力でやるだけ。発表だからとまったく考えてない」と冷静だった。