首位の横浜F・マリノスが浦和レッズに4-1で大勝し、2位の川崎フロンターレは2-1でヴィッセル神戸に競り勝った。これで、横浜と川崎Fの勝ち点差は2のまま、優勝決定は11月5日の最終節に持ち越しとなった。横浜は連敗を2で止めて勝ち点65、川崎Fは3連勝で同63。最終節で横浜は神戸、川崎FはFC東京と、ともにアウェーで対戦する。最下位のジュビロ磐田はガンバ大阪に0-2で敗れ、1年でのJ2降格が決まった。

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川崎Fのドラマは、最後まで分からない。1-1の後半39分。ペナルティーエリア付近で、FW小林が倒された。FKの判定にスタンドが沸いた。それで終わらなかった。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)による判定が待っていた。主審がPKを指さすと会場のボルテージは最高潮。ゴール右に勝ち越し点を決めたMF家長は、直後に地面に膝をつき芝生を何度もたたき、雄たけびを上げた。普段は冷静さが売りのベテラン。「覚悟は決めていた」。短い言葉の中に、緊迫感があふれていた

家長は、危機的状況を知っていた。「個人的にですけど、マリノスがリードしていることは知っていた」。ハーフタイムに、ライバルの情報を入れていた。引き分けで終わっていれば、横浜のリーグ優勝が決まっていた中、終盤に決めてみせた。「(優勝の)可能性がまだあるので、良かったと思います」。試合後は、いつものクールな横顔だった。

勝ち点差は2。厳しい条件に変わりない。奇跡の逆転優勝へ向けて、川崎Fは11月5日の最終節東京戦の勝利が絶対条件。かつ、同時刻に行われる横浜の敗戦も必要となる。引き分けられたら得失点差もあり、ほぼ不可能。家長は「特別な気持ちはない。勝って終わりたい。その中で、優勝できたらラッキーかな」。DF山根も「僕たちがマリノスの何かをコントロールできる訳ではない」。できることは、勝ち点3を奪取すること。FW小林は「自分たちから可能性をなくすことはしてはいけない」とうなずいた。

頂点をつかめれば、クラブ史上初のリーグ3連覇となる。鬼木監督は「やるべきこと、それを最後の最後まで、貫くことが、ちょっとの可能性を生むのかもしれない」。ドラマチックな展開を信じ、多摩川クラシコに臨む。【栗田尚樹】

◆J1優勝争いの行方 J1の優勝決定は3年ぶりに最終節へ持ち越しとなった。横浜はアウェーで神戸に勝てば無条件で優勝決定。引き分けても優勝の可能性は極めて高く、川崎Fがアウェーで東京に勝利すると勝ち点66で並ぶが、得失点差は現時点で横浜が33、川崎Fが22。川崎Fが得失点差で上回るには12点差以上の勝利が必要となる。川崎Fの逆転優勝には勝利が絶対条件で、勝ち点で上回るには横浜が負けなければならない。

【スコア速報】V決定は最終節へ