新潟医療福祉大(北信越1)は桐蔭横浜大(関東4)に2-3で逆転負けした。北信越勢初の優勝には届かなかったが、堂々の準優勝だった。プロ内定13人を擁する相手にFW田中翔太(3年)、主将のDF二階堂正哉(4年)のゴールで2度リードを奪ったが、2-2の後半ロスタイムに決勝点を献上した。新シーズンで監督就任10年目を迎える佐熊裕和監督(59)は今大会で得たことを基準とし、再びこの舞台に戻ることを誓った。

試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、佐熊監督はピッチに崩れ落ちる選手たちを静かに見つめた。前半23分に田中の今大会4得点目で先制。直後に同点とされたが、同32分に二階堂がDF神田悠成(3年)のロングスローから勝ち越しゴールを決める。ただ、後半に試合をひっくり返され、悲願達成とはならなかった。指揮官は「地方大学でも1つ結果は残せた。ただ優勝させてあげたかった」。

桐光学園高(神奈川)や中国のプロチームを率いた佐熊監督は14年に同大監督に就任。自ら全国を飛び回って伸びしろのある選手を集めて強化を進めると、17年から北信越大学リーグ1部6連覇中。天皇杯、夏の総理大臣杯や冬の大学選手権と全国大会出場常連に育て上げた。今大会で初めて全国大会8強の壁を超えると準決勝では夏の覇者・国士舘大を1-0で撃破し、北信越勢として初めて決勝に駒を進めた。

佐熊監督にとっては国立3度目の挑戦だった。1度目は桐光学園高を率いた96年度の全国高校選手権。中村俊輔(44)や現在、大学の指導者としてタッグを組む井手口純コーチ(43)を率いて準優勝した。2度目は同校を4強に導いた12年度の同選手権。大学チームを率いての国立決戦は今回が初めてだったが、またしても国立での優勝には1歩、届かず。「頂点にたどり着けなかったのはもうひとつ勉強してこい、ということなのかな…」と話した。

全国制覇は新シーズン以降に持ち越しとなったが、この日は2、3年生の7人がスタメンを務め、経験値を上げた。「強度、物差しはチームとして学べた。そういう部分を持ち帰って、来年以降、またこの場に戻ってこれるようにトレーニングを積んでいきたい」と前を向いた。【小林忠】

○…準優勝した新潟医療福祉大からは好セーブを連発した桃井玲(2年)が大会ベストGK、オナイウ情滋(4年)が同ベストMFに選ばれた。22年10月から正GKとなった桃井は「決勝で3失点は悔いが残る。本当は優勝して受賞したかったが評価されたことは自信につながる」。J2仙台に進むオナイウは「準優勝をアドバンテージに、開幕スタメンを狙いたい」と話した。