黒田ゼルビアが、まもなく船出を迎える。青森山田で7度の全国制覇を誇り、今季からJ2町田を率いる黒田剛監督(52)が、仙台との開幕戦(19日、Gスタ)でJリーグ初采配を振るう。

チームは15日、東京・町田市内で約1時間半のトレーニングに臨んだ。青森山田時代のように「何でもできるサッカー」を志向しながらJ2優勝とJ1昇格を勝ち取る。

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高校サッカー界の名将が、新たな舞台に挑む。黒田監督は青森山田の教え子60人超をJリーグに送り込んできたが、自身にプロ経験はなく、仙台戦が正真正銘のJデビュー戦となる。「すごく不安から入った(町田の)監督生活も徐々にワクワク感というか、早く試合を迎えたいというような気持ちになっています」。町田は1月10日に始動。沖縄、宮崎キャンプ、日々の練習を経てチームのベースづくりも順調に進んでいるという。J1勢との練習試合でも好成績を収め、自信を持って開幕戦を迎える。

J2屈指の選手層を誇る仙台は、新生町田の実力を測るにはもってこいの相手だ。「我々がいかにベガルタの良さをつぶし、我々の良さを出していくかのギリギリの勝負になる」と分析。「勝負なので、勝つ、負けるはもちろんあると思いますが、新しい町田ゼルビアがどう変化し、どういう心意気で1年間戦っていくという姿勢とかモチベーション、闘志をサポーター、ファンの方に伝わるようなゲームにしたい」。所信表明を示す一戦にする。

J2には仙台MF郷家友太(23)ら青森山田の教え子が多い。黒田監督は「向こうは『勝って恩返しをする』とか言ってますけど、負けるわけにはいかないんでね。彼らの特長もよく分かってますし、私が考えるようなことも彼らも知っているわけなので、すべてにおいてきちっと勝るサッカーを志向しないといけない」と気を引き締める。

どんな土俵でも戦える総合力の高いチームが理想像だ。ボールを保持でき、1対1の強度でも負けない、ショートカウンターやリスタートからでも得点を奪えるといった「最終的には青森山田が志向していたサッカーを、よりスケールアップし、よりクオリティーを高め、何でもできるようなサッカーをしていきたい」。J2で「打倒山田」ならぬ「打倒町田」と言われるように、新たな常勝軍団を築き上げる。【山田愛斗】

◆黒田剛(くろだ・ごう)1970年(昭45)5月26日生まれ、札幌市出身。登別大谷(現北海道大谷室蘭)-大体大。94年、青森山田のコーチに就任し、95年から監督を務め、23年、J2町田監督に就任。全国高校総体は05、21年優勝。全国高校選手権は16、18、21年度優勝。プレミアリーグEASTは16、19、21年、同ファイナル(旧チャンピオンシップ)は16、19年優勝。尊敬する人物は、元日本代表監督・岡田武史氏。家族は夫人と1男1女。血液型O。