経営再建中のサガン鳥栖は15日、定時株主総会を開き、22年度決算は5期ぶりとなる約1億8000万円の黒字と発表した。一方で、債務超過は約2億9000万円が残った。小柳智之社長(37)が、ホーム柏レイソル戦前に駅スタで記者会見して報告した。

依然コロナ禍の影響があるとはいえ、ユニホームすべての部分が埋まるなどスポンサーの大幅増や、興行収入の盛り返しなどで、約27億6000万円の売り上げを達成。それでも、入場者数はコロナ禍前の約7割の回復状況で、小柳社長は「ゴールデンウイークや夏休みをからめ、季節ごとのイベントに合わせた集客を行っていきたい」と話し、さらなる興行収入増を誓った。

21年度決算はコロナ禍、入場者数、グッズ販売の伸び悩みなどで4期連続赤字となり、債務超過は約4億6000万円が残っていた。

また、債務超過解消について、小柳社長は「Jリーグライセンスの特例措置がなくなる25年中に返す。残り2年で返していくことに変わりはない」と話し、24年度決算までの解消を目指す。

19年度決算では20億円超の巨額赤字を計上。20年からは2年連続で、Jリーグ唯一の財務是正措置が通達されたが、クラブ存続危機を乗り越え、健全体制へようやく光が見えてきた。

一方で、トラブル解消も急務だ。鳥栖が元社長の竹原稔氏(62)を損害賠償を求め提訴した問題について、小柳社長は「この件に関しては、弁護士に一任しており、ここでお答えできることはない」と話した。

提訴に関しては、竹原氏がパワハラをした元スタッフへの解決金を運営会社に支払わせたり、資金を私的流用したりしたとして、約8200万円の損害賠償を求め、2月9日付で佐賀地裁に提訴している。